湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.755(2020.2.2)自衛隊の中東派遣、安倍政権の狙い

《情報・提示》

今回の、自衛隊の中東派遣の裏に潜む狙いと効果について、適格な分析だと評価するので、原文を転送します。

(調査・研究)を名目とする今回の派遣は、実質の 、米軍主導の「有志連合」への参加ではないか!!                                                              

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※(半田滋 氏 のウェブサイト情報より転載。)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70129

 

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  ( 中東に派遣される護衛艦「たかなみ」(海上自衛隊ホームページより))

 

自衛隊の中東派遣、異例の「1佐」を3人も送り込む

安倍政権の狙い、

「情報収集」のためではなかったのか?

半田 滋

中東への自衛隊派遣は1等海佐(1佐=他国軍の大佐)が3人も送り込まれ、この種の海外活動では異例の高官派遣となることが分かった。

際立つのは、米海軍の中枢のひとつである米中央海軍司令部に自衛隊として初めて連絡幹部を派遣することと、その連絡幹部が派遣される3人の1佐のうちの1人であることだ。

この米中央海軍司令部は、米軍主導の「有志連合」司令部を兼ねる。今回の高官派遣は、日本政府が「参加しない」と明言しているはずの「有志連合」への実質的な参加を意味するのではないか。

 

参加していない「有志連合」の主力に?

米国が60カ国以上の国々に呼び掛けたにもかかわらず、6ヵ国の参加にとどまった「有志連合」。米国を除けば、艦艇を派遣するのは英国、オーストラリアの2ヵ国しかない中で、日本の護衛艦1隻、哨戒機2機の中東派遣は「有志連合」の貧弱な情報収集態勢の「補完」を通り越し、「主力」となる可能性さえある。

米中央海軍は中東の親米国バーレーンに置かれ、「米海軍第5艦隊」と「多国籍軍による連合海上部隊」を束ねる米海軍の主要司令部。ペルシャ湾オマーン湾、紅海などの中東海域とケニア沖などの東アフリカ海域を任務海域としている。

この米中央海軍司令部に1月中旬、海上自衛隊の岩重吉彦1佐(49)が連絡幹部として派遣され、着任した。岩重1佐は、横須賀基地にある米海軍第7艦隊司令部の連絡官や、海上幕僚監部総務課渉外班を務めた対米連携の専門家だ。

これまで自衛隊連絡幹部のバーレーン派遣は、連合海上部隊のひとつである海賊対処を任務とする「CTF(統合任務部隊)151」への派遣にとどまり、現在、CTF151では1尉(大尉相当)1人が勤務している。

CTF151の上部機関である米中央軍司令部への派遣は過去に前例がなく、連絡幹部として1佐をバーレーンに派遣するのも今回が初めてとなる。

CTF151よりも上位にある米中央海軍司令部への高級幹部の派遣は、「有志連合」が2019年11月に立ち上げた「オペレーション・センチネル(番人作戦)」をめぐり、日本が米国と密接に関わることを意味する。 

自衛隊の1佐は佐官階級の最上位にあたり、将官になる一部を除けば、防衛大学校を卒業した幹部候補生が上り詰める階級でもある。「2佐(中佐相当)と1佐では集まる情報の量が異なる」(自衛隊幹部)とされ、陸海空自衛隊とも1佐の大半は年収1000万円を軽く越える。

米軍は「連絡幹部の階級」「派遣部隊の対米貢献度」などを基準に相手国へ提供する情報の質・量を変えている。例えば、2佐より1佐の方が出席できる会議の数が多く、自ずと得られる情報にも違いが出てくる。また艦艇だけより、艦艇と航空機を派遣した方が米国との間で交換する情報の中身は濃いことになる。

 

各国が派遣に及び腰な中…

「有志連合」への参加を表明した国々による「対米貢献度」をみてみよう。

英国は駆逐艦2隻を参加させ、オーストラリアはフリゲート艦1隻とP3C哨戒機1機の派遣を表明しているが、同じ「有志連合」のバーレーンサウジアラビアアラブ首長国連邦UAE)、アルバニアはいずれも艦艇や航空機の派遣を表明していない。

一方、連絡幹部を派遣したうえ、護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機2機を派遣する日本は、実態がスカスカの「有志連合」に対し、参加表明をしていないにもかかわらず、多大な貢献をするのは間違いない。

海上自衛隊の活動海域は、イランを刺激することになるペルシャ湾とホルムズ海峡こそ除外しているが、「有志連合」が活動海域と定めたオマーン湾からバブ・エル・マンデブ海峡までの公海で情報収集するため、「有志連合」の補完的役割を果たすことになる。 

もともと海賊対処を任務としてアフリカのジブチを拠点に派遣されている自衛隊のP3C哨戒機2機は、CTF151が必要とするアデン湾上空からの監視活動の8割を受け持っており、残り2割を英国、フランスなど欧州5カ国で分け合っている。つまり、海賊対処の監視飛行は、すでに海上自衛隊が「主力」となっているのだ。

1月11日、那覇基地を出発したP3C哨戒機2機は20日、アデン湾上空からの監視飛行を開始した。海賊対処と防衛省設置法の「調査・研究」にもとづく情報収集という二足のワラジを履いた活動とはいえ、監視飛行の8割を受け持つのだから、「オペレーション・センチネル」においても中心的な役割を担うことになるのは自明だろう。

 

「調査・研究」目的のはずなのに

説明が遅くなったが、中東へ派遣される残り2人の1佐は、2月2日に横須賀基地を出航する護衛艦「たかなみ」艦長の新原綾一1佐(44)と、「たかなみ」を含む4隻の護衛艦を指揮する第6護衛隊司令の稲葉洋介1佐(48)である。

稲葉1佐は、第6護衛隊の残り3隻を上部機関の第2護衛隊群司令に預けて「たかなみ」に乗艦する。

海賊対処に護衛艦2隻を派遣していた2016年12月までは護衛隊司令もアデン湾に来ていたが、1隻の護衛艦のために護衛隊司令が日本を離れ、中東に活動拠点を移すのは珍しい。

 

ちなみに海賊対処で現在、中東へ派遣されている護衛艦を指揮する水上部隊の指揮官およびジブチに拠点を置くP3C哨戒機を指揮する航空隊の司令は、それぞれ2佐である。

海上自衛隊は、海賊対処で派遣する幹部を2佐にとどめる一方で、「調査・研究」による情報収集には1佐を3人も派遣する。これは海上自衛隊が今回の中東派遣を重要視している何よりの証拠といえるだろう。

 

閣議決定と食い違う「安倍首相の発言」

昨年12月27日の閣議決定では、自衛隊の派遣目的を「日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集」としていたにもかかわらず、安倍晋三首相は1月11日からサウジアラビアUAEオマーンを訪問し、各国に自衛隊派遣の説明をした際、13日付のツイッターで「日本関係船舶の安全を確保するため自衛隊を派遣することについても、完全な理解と支持を頂きました」とつぶやいた。

日本関係船舶の安全を確保するため、自衛隊を派遣することについても、完全な理解と支持を頂きました。 pic.twitter.com/yiFazd21Br

安倍晋三 (@AbeShinzo) January 12, 2020

派遣の目的が「安全確保に必要な情報収集」から、いつの間にか「安全確保」そのものに変わっている。「安全確保」のためには自衛隊による日本関係船舶の護衛などの具体的な対応が必要になるが、閣議決定の通りであれば、今回の派遣は「調査・研究」、つまり「見ているだけ」にとどまるはずである。

日本関係船舶に不測の事態が起きた場合、自衛隊法にもとづき海上警備行動を発令することも閣議決定に含まれるものの、発令するには防衛相が首相の承認を得る必要がある。

近くで日本関係船舶が襲撃された場合、即座にそんな手続きを行う余裕などあるだろうか。護衛艦1隻の派遣にもかかわらず、海上自衛隊が護衛隊司令を乗艦させることにしたのは、司令が現場で武器使用を決断できる立場にあると考えた結果ではないだろうか。 

1佐3人の派遣は、安倍政権が政治決断を避けてあいまいにしている中東派遣の「真の狙い」が「日本関係船舶の安全確保」であることをほのめかし、それを海上自衛隊に忖度させ、いざという時に現場に決断させる覚悟を示したものといえるだろう。

裏を返せば、これまでの自衛隊海外派遣で繰り返されてきたのと同様、機能不全に陥った「シビリアン・コントロール」を制服組が補い、「終わりよければすべてよし」につなげるシナリオが今回も描かれたといえる。

 

家族は混乱しているのでは?

筆者はP3C哨戒機が那覇基地を出発する前の1月10日、翌11日に海上自衛隊が実施した家族説明会の資料を入手した。

この資料では、自衛隊の活動について「日本関係船舶の安全確保に必要な情報を収集」「海賊対処行動に支障を及ぼさない範囲で実施」とあり、意外にも海賊対処が「主」、情報収集が「従」となっている。

 

                                 ( 自衛隊の家族説明会で配布された資料(1))

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その一方で、安倍首相は自衛隊の活動について、情報収集を踏み越え、「日本関係船舶の安全確保」と言い切っているのだから、家族は混乱しているのではないか。

別の家族説明資料には、派遣される隊員はいずれもPKO保険に加入した旨の説明があり、「海外派遣者の治療等(怪我や病気)を補償」と書かれている。さらに「死亡・7日以上の入院時、ご家族が現地に赴くための費用」についても説明している。

 

                                  自衛隊の家族説明会で配布された資料(2)

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最悪の事態を想定するのが組織の務めとはいえ、あまりに無神経な表現ではないだろうか。担当者が家族説明会でどのように説明したのか、気になるところだ。

とはいえ、この家族説明資料に書かれている内容についてさえ、政府は広く国民に対しては説明していない。今回の中東派遣とは何なのか、本当に必要性はあるのか、開かれた議論を抜きに航空機や艦艇の派遣ばかりを先行させ、既成事実化させてよいはずがない。

                                                                                                                           (以上)

 

 

No.754(2020.1.11)「戦場体験放映保存の会」の紹介

《紹介》

「戦場体験放映保存の会」という、地道な活動を続けるグループを知った。

東京新聞』2020.10.11付、(こちら特報部)記事を読み、納得できたので概略を紹介します。

また、そのグループのウェブサイトも後半で紹介します。

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(1)この会の趣旨と経緯は、こうだそうです。

 「戦争体験世代が他界していく中で証言を残そうと2004年、元兵士と若い世代の約100人の賛同により発足。2010年から「全国キャラバン」を編成し、全国規模で20才代から40才代を中心としたボランテイアたちが体験談の聞き取りを続け、収集した証言や手記などは、ネット上の「戦場体験史料館・電子版」で少しづつ公開している。」そうだ。

・この会のきっかけは、2002年に遡るという。

 当時社会党の代議士だった、故 上田哲 氏が主催する ”マスコミ世論研究所”  というのがあったそうで、上田代議士は、公衆電話から10円玉で行政官庁に自分の意見を伝える「十円玉運動」というのを提唱していたそうだ。

・これを知った、現在この会を中心的に運営している中田順子さんという人が、「草の根の言論は民主主義の基本。マスメデイアに負けない言論を掘り起こそう。」と意気に感じて、上田哲氏らと共に、中央省庁の電話番号を刷ったビラを傍らで配り始めたという。

・やっているうちに、上田哲氏らが立ち上げたネット放送局で戦場体験を放送する企画が持ち上がり、始まった。やってゆく中で,中田順子さんらは、「若い世代は戦争を知らない。(高齢の)語り手も、戦争体験が伝わっていないと感じ、「世代間の認識の溝に橋をかけられたら」との思いで、大々的に証言を集めることになり、2004年に、この「保存の会」が発足したという。

・新聞でも「体験募集」を呼びかけると、中国大陸や東南アジアの戦線、沖縄での地上戦、敗戦後のシベリア抑留・・・。さまざまな戦地にいた人やその家族などから連絡があり、取材対象者は二千人に膨れたという。

硫黄島での極限の闘い。戦場で民間人までも敵だと思って殺してしまった人。・・・ 

・「怖いのは、何かを成すためにと、戦争が是認されてしまうこと。体験世代がいなくなったらその空気はもっと濃くなる。それはもう始まっている。戦争やテロに巻き込まれたり、他国から侵略を受けたりするかもしれないからと、戦争には反対でも軍隊は必要と考える人も少なくない。こうした空気に乗じるように、安倍政権は軍備を増強する。」

・「「だけど」と中田さんらは考えている。そもそも戦争をしてでも成さねばならない何かってあるのか。ニュースを見ていると、若い人たち国益のためなら、してもいい戦争があると思うのかもしれない。戦争は適度にやったら勝てると思うのかもしれない。でも今、世界のどこかの戦場で兵士たちが見ている光景は、75年前に日本兵たちが見たみじめな光景と変わらない。」「戦争になったらあらゆる自由はなくなる。公共の利益を盾にして人権も制約される。戦争をする社会は、自分で生死を決められない。」

・「だから、「それでも戦争を肯定するのかどうか」を考えてもらうために、生の証言や記録を集める。どんな立場の人でもこだわらない。「無色」と「無償」「無名」がモットー。」

・伝え方は難しい。問題は、戦争体験に興味を持つ回路や時期が人によって違う事。 

SNSが発達した今は効きたい事だけを聞き、見たいものだけを見る傾向が強まっている。一人が見る情報には偏りがあるとも感じる。

・岐路に立つ若い世代のために、ひたすら残す。歴史の教科書には出てこない、「集めた証言が戦争を拒む力となるように、私達にできるのはそれだけ。」 と中田さんらは言う。 

 

(2)この会が発信するウェブサイトを紹介します。

「ここは戦場体験放映保存の会が運営する戦場体験史料館のウェブサイトです。」

戦場体験史料館  (クリック)  http://www.jvvap.jp/

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戦場体験放映保存の会について (about us) 2012-08-15

 もうすぐ消えてしまう戦場体験を、なんとか後世に遺さなくてはならない。 

 この危機感を同じくする元兵士と若者が手を携え、2004年12月、戦場体験放映保存の会は発足しました。

 元兵士・軍属、民間人として、あの戦場を知るお一人おひとりの体験談を、ビデオなどに記録する活動に取り組んでいます。 

 これまでに収録した証言は2500余。あの未曾有の戦争を語るには記録の集積はまだまだ足りません。「語らずに死ねるか」という痛切な思いを抱える元兵士・軍属・民間の戦場体験者はたくさんいるのです。 2010年からは「全国キャラバン」を編成し、全国規模で体験談の聞き取りを行っています。

  残された時間はもうあと僅か。今、切実に、この運動に関わっていただける方を求めています。

 体験者の皆様、ぜひあなたの体験をお聞かせください。資料のご提供もいただければ幸いです。若い方も、お知り合いの戦場体験者をご紹介ください。ボランティアとして関わっていただける方もご連絡をお待ちしています。 

 念のために申し上げますが、この保存運動は、あくまで体験者の「生の声」を真正面から記録します。「無色・無償・無名」を唯一の原則として、それぞれの考え方や立場を尊重しあいながら、ただ戦場体験を語り継ぎ・記録するという一点で手をつなぎ合い、たいせつな歴史として記録しおきたいと願っております。

 

「戦場体験リストについて」

  • 千人いれば千人の戦場体験があります。膨大な戦場体験記録を整理するため、「戦地」と「時期」の2つの観点で体験記録を分類します。
  • 複数の年代・戦地にまたがる体験をお持ちの方の場合は、複数箇所にお名前が掲載されています。ただしリンク先のページは同じです。
  • このリストによって、お一人おひとりの体験がどの戦地のどの時期に該当するのか一覧化することができます。

  検索のしやすさだけでなく、未曾有の総力戦であったあの戦争の地域的・時間的な

  広がりを感じていただくことが狙いです。

 

《催しの一例》

2019年6月22日(土)~23日(日)
会場:八重洲ブックセンター本店8階【入場無料】 

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No.753(2019.12.30)<「武器より暮らしを!市民ネット」が大軍拡予算案に抗議声明!>


《紹介》

 杉原浩司(武器取引反対ネットワーク:NAJAT)の、ブログ記事からの紹介です。

 https://kosugihara.exblog.jp/239887405/

[転送・転載歓迎]とあります。内容に支障ないと判断する範囲で、当方で、一部、文章の順序変更、文章の箇条書き、画像の追加(すべて)を行ってあります。

 

           【緊急声明】

   大軍拡予算案に抗議し、

      武器より暮らしへの組み替えを求めます  

2020年度政府予算案の閣議決定がなされた。

一般会計総額は2019年度の 101兆4571億円を超え、102兆6580億円と過去最大となった。  

歳出規模の増大の要因は、社会保障費の増大だと言われる。しかし、幼 児教育や保育の無償化には不十分な予算しか組まれていない。高等教育の 無償化は、大学生一人当たりの大学予算の減少につながりかねないといっ た問題を抱えている。介護の予防や自立訓練に取り組む自治体への交付金 の増額などが盛り込まれているが、「予防」や「自立」が重視され、要介 護高齢者に対する社会保障が軽視されている。年金・医療などに関しては、 高齢化などに伴う自然増の範囲内でしかなく、公的扶助削減・自己負担増 によって苦境に陥っている人々を放置するものでしかない。復興庁の被災 者支援総合交付金が2019年度予算よりも1億円減額されるなど、災害が多 発している中で、逆に災害被災者の切り捨てが進められている。また、文 教費は4.4兆円でしかない。  

その文教費を1兆円近く上回っているのが、今や一般会計の約5%を占め るに至っている防衛費である。防衛費は、8年連続で増大し、過去最大の5 兆3133億円になった。

当初予算には、概算要求で新規項目として盛り込まれていた航空自衛隊 宇宙作戦隊新編、陸上自衛隊サイバー防護隊新編、電子戦能力に優れた F35B(6機793億円)、護衛艦「いずも」の空母化(31億円)、イージス・ アショア関連経費(129億円)、電子戦機の開発(207億円)などが計上さ れた。既に進められてきた事業の費用、陸上自衛隊の欠陥機オスプレイ導 入、南西諸島の自衛隊増強に関する経費なども計上されている。  

また、「スタンド・オフ火力」の名で正当化された長距離巡航ミサイル JSM購入費(136億円)など、「専守防衛」を逸脱した実質改憲にも踏み込 む敵地攻撃力の実質保有も進められようとしている。F35A3機分(281億円) に加えて、F2戦闘機の後継機の開発費(111憶円)も計上され、関連の技 術研究費など(280億円)も計上された。

海上自衛隊オマーン湾派兵に かかる経費も盛り込まれた。  

米政府からの有償軍事援助(FMS)による武器調達費は4713億円と過去 3番目の大きさとなった。

後年度負担」と呼ばれる既に契約した武器の 支払いに充てる経費は2兆326億円に上り、防衛費の歳出全体の38%を占め ている。

また、「在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)」(2019年度予 算では1974憶円)をトランプ政権は4倍にしろと言っており、予算案をも 上回る額が支出されることになりかねない。  

以上のような2020年度防衛予算案は、宇宙・サイバー・電磁波領域も含 む大軍拡と、海外派兵の拡大を進め、南西諸島を「戦場化」し、周辺諸国 との緊張を激化させるものである。

また、弾道ミサイルを実際に迎撃する ことができるかどうか疑わしいミサイル防衛関連など、米国製兵器の爆買 いや、米軍への「思いやり」を優先し、新兵器開発などで防衛産業を儲け させるためのものである。  

2020年度予算案は、こうした「聖域なき軍拡予算」が教育や福祉関連予 算を圧迫しているものと言わざるを得ない。私たちは2020年度予算案に強 く抗議し、「武器より暮らしを」優先した予算への組み替えを強く求める ものである。  

2019年12月20日     

武器より暮らしを!市民ネット <呼びかけ団体> ・武器取引反対ネットワーク(NAJAT) ・大軍拡と基地強化にNO!アクション2019 ・防衛費増大より教育を受ける権利と生存権の保障に公的支出を求める 専門家の会(社会権の会) <連絡先> 090-6185-4407(杉原)  メール buki_yori_kurashi@freeml.com

 

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12月20日、2020年度政府予算案が閣議決定されました。

軍事費は過去最高を 更新。量においても質においても歯止めを失い、「先取り壊憲」の大軍拡を さらに推し進めるものとなっています。

これに対して、「武器より暮らしを!市民ネット」が緊急の抗議声明を公表 しました。

<関連報道>

★次期戦闘機開発に111億円 防衛費5.3兆円、過去最大 20年度予算案

(12月20日時事通信https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191220-00000098-jij-pol 来年度予算案、防衛費 過去最大5.3兆円

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★(12月20日、TBS)

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20191220-00000052-jnn-pol

 

★防衛予算案5.3兆円、過去最大 高い米製品の購入続く(12月20日、朝日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191220-00000076-asahi-pol f:id:syounantheo:20191230130330j:plain

★来年度予算案 防衛費は過去最大に(12月20日NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012222401000.html

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★宇宙・サイバー・電磁波の新領域に重点 過去最高5.3兆円 防衛省 (12月20日SankeiBiz

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/191220/mca1912201331031-n1.htm

 

護衛艦「いずも」、正真正銘の空母へ。F35Bの発着艦に必要な改修費31億円を計上 (高橋浩祐・国際ジャーナリスト、Yahooニュース、12月20日https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashikosuke/20191220-00155710/

 

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★100兆円2年連続突破 20年度予算案を閣議決定(12月20日、日経) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53587360Z11C19A2MM0000/

 

 

◆これは必読です! 『兵器を買わされる日本』(東京新聞社会部、文春新書、本体850円+税)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612444

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No.752(2019.12.22) 紹介:中国残留婦人:貴重な語り


《紹介》

中国残留婦人 貴重な語り” という記事が、『東京新聞』2019.12.22 に掲載されており、考えさせられることが大きかったので、その概略と、関連のHP を紹介します。

(記事の抄録)

第二次世界大戦終戦時、旧満州中国東北部)で生死の境をさまよった中国残留孤児や残留婦人。・・・埼玉県川越市の元短大講師 藤沼敏子さん(66)が、証言集を出版した。・・・貴重な後述の歴史資料になっている。

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不条理を生き抜いて 残留婦人は、終戦時に十三才以上だったという理由で、「自分の意志で残った」と国からみなされ、五十年近く帰国支援がなされなかった。多くは国の移民政策である満蒙開拓団の一員として、貧しい農村から家族で満州に移った。・・・終戦直前、国は開拓団から男性を根こそぎ召集し、高齢者と女性、子どもだけが残された。・・・情報も途絶する中でソ連軍が侵攻してきて、逃避行が始まる。中国人の銃撃やソ連機の機銃掃射、集団自決などで多くの犠牲者が出た。食料のない山中では、老人や乳幼児が次々に亡くなった。歩けなくなったわが子を川に流す母親たちの姿を、複数の残留婦人が語っている。

たどり着いた収容所では飢えと冬の寒さ、感染症による死者が続出。朝起きると、隣に寝ていた肉親が死んでいた。遺体は掘った穴に積み上げられた。ソ連兵が若い女性を暴行目的で連れ去る事件も繰り返された。

収容所で死を待つしかなかった時、貧しさから嫁を迎えられない現地の農家に売られたり、引き取られたりして生き延びてきたのが国に「自由意志」とされた実態だ。現地の言葉で「トンヤンシー」と言われ、農作業や家族の世話を司、十代後半になると、その家の男性と結婚。貧しい農村で必死に生きてきた。

・・・埼玉県国際交流センターの日本語ボランテイア講座のコーデイネーターとして活動していた、冒頭に記載の藤沼敏子さんは1994年ごろ、帰国した残留婦人と親しくなり、インタビューを開始。膨大なビデオ映像を自身のホームページ「アーカイブス 中国残留孤児・残留婦人の証言で公開している。

・・・・・・・・・・・・・・・

(以下、HPの紹介、ほか)

HP:アーカイブス : 中国残留孤児・残留婦人の証言 

(HPは、下記をクリックで表示されます。)

https://kikokusya.wixsite.com/kikokusya

(HP前文 では、次のように紹介されています。) (一部、当方で編集)

  

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 中国残留孤児・残留婦人等とその支援者、関係者の方々の協力を得て、200人前後の方にインタビューをさせていただきました。その中の中国残留婦人等(「中国残留邦人支援法」対象者。男性、サハリン残留邦人も含まれる。終戦時13歳以上だった方)34人のインタビューをまとめたものです。    

 彼女たちの経験が多くの方に読まれ、平和の尊さを伝えることができたら、ご自分の辛酸に満ちた不条理な人生を生き貫いてきた意義を、見出し、肯定することができるのではないかとの希望を持っています。

 このホームページでは、中国残留孤児・残留婦人・サハリン残留邦人のこれまで歩んできた道程を、インタビュー形式で録画した生の声を公開しています。

 残留孤児・残留婦人のこれまでの人生、悲しみや苦しみは記憶遺産として、今を生きる私たち世代が共有し、後世に伝えて行かなくてはならないと思います。彼らの語りの中から、満蒙開拓の実態も、その後の彼らを育ててくれた中国大陸の温かさ・厳しさの実態も、日本に帰国後の彼等のおかれた環境も、まずお一人お一人のライフヒストリーの語りから、一端でも知ることからはじめたい。そうして、加害の歴史・被害の歴史と向き合い、より良き未来を希求したいと思っております。

  教育現場のみならず、たくさんの戦争を知らない世代の方々に、彼らがどのような人生を生きてきたのか、生きざるを得なかったのか、肉声を聞いていただきたいと思います。 

 お一人のインタビュー時間はおおよそ1時間から2時間、長い方は5時間にのぼります。 一つのビデオは最長45分で切れますが、①②、、、と、順番に聞いていただければ、お一人の語り、すべてを聞くことができます。 」

 

 

 

No.751(2019.12.6)日本の教育(OECD調査)から考える

《情報・意見》

 2019.12.4付の各紙に、各国の(高1の学力OECD調査)という、非常に大きな課題を抱える、日本の初・中等教育の現状が報告されている。

 調査は、OECD加盟の42カ国・地域の約60万人が参加し、(数学的応用力)、(科学的応用力)(読解力)の三分野で行われた。日本は無作為抽出で国公私立183高校の約6100人の参加調査が実施された。

 平均得点の全体比較で、(科学的応用力)(読解力)(数学的応用力)三分野の全てでトップは、「北京・上海・江蘇・浙江」が参加した中国だった。シンガポールマカオ、香港 などが上位3位を占める。

 

ここでは、『東京新聞』2019.12.4記事を参考にして、問題点を考えたい。

 

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         (図1)


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                   (図2)
 

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                  (図3)

                 

・ 経済協力開発機構OECD)は、2019.12に、79カ国・地域の15才を対象に、2018年実施の「学習到達度(PISA)」の結果を公表した。

日本の高校1年生の特に国語読解力は15位で、8位だった2015年の前回調査から低下し、点数も下がり、海外上位層との差が広がった。低下は二回連続。(図1)(図2)

・紙面で指摘されている問題点のポイントは次のように要約されている。

(1)非科学的指導

・数学の本質は計算ではなく、問題文を読解することから始まる。

・授業は、(本来的には)既に正しいとされていることを証明し、再確認することに始まる。数学の知識があっても、問われている問題の意味が理解できなければ本当の学力とは言えない。暗記だけでは始まらない。

・背景にあるのは、これまで、文科省:「学習指導要領」の改変内容に大きく問題がありそうだ。小学校入学段階で既に、語彙量の低下と指摘されてきている。学校現場でも、「文章を読めない子どもが増えてきている」ことが指摘されて久しいという。

・家庭の経済力の影響はどうか? (図3)

今回のPISAでは、家庭の経済力や文化的水準が学力に及ぼす影響も調べられた。結果、日本の平均はOECD平均を下回り、全参加国・地域で下から4番目だった。 

 

《評価》

・読解力は、言い換えれば、文章を理解して熟考し、考えを表現し、自らの可能性を拡げる力。それが社会に参加するための基礎になる。

・2022年度から本格実施される高校の新学習指導要領では、国語を「論理国語」「文学国語」などに再編するというが、文学界からは、文学が片隅に追いやられるとの指摘が強い。

・調査では、読書についてこう分析されてもいる。雑誌以外では、「読む」グループの方が「読まない」グループよりも得点が高く、最も得点差が大きいのは小説や物語などのフィクションだったという。次いで、新聞、漫画となっている。

ここでも、じんわりと、読解力の格差が生まれているのではないか?

・いうまでもなく、より深刻なのは基礎があやしい低学力層が相当いるという事にもある。 

・他方で、読解力育成のために、社会や理科など国語以外の教科でも、文章のまとまりなどを意識した授業改革に取り組み始めた学校もある。

これが、長期的に子どもたちの未来を拡げるために、水となり、肥しとなるのだろう。

・しかるに、今年度の自民党による補正予算(案)の目玉の一つとして出されているのが、全義務教育現場で子ども各人に1台のパソコンを配布(数兆円)というば場当たり・バラマキ教育行政が目論まれている。

安倍政治の、(教育基本法改変)に始まる教育破壊の現実の姿として、「考えることから遠ざかる」人材(育成)のなれの果てを補強する、上記のような調査結果として現れている。

                                 (以上)

   

No.750(2019.11.23) 武器見本市:「DSEI JAPAN」は悪魔の飽食だ!!

 

 

《紹介・批判》 

 ・ 杉原こう じ氏のブログ:https://kosugihara.exblog.jp/239787324/

  より引用、拡散します。[転送・転載歓迎]とあります。

   ・幕張メッセでの総合武器見本市「DSEI JAPAN」」を許さない!

   ・悪魔の飽食 展示会です!!

   ・ますます常態化しています。

 

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https://kosugihara.exblog.jp/239787324/

 

 

【報道まとめ】幕張メッセでの総合武器見本市「DSEI JAPAN」開催と市民の抗議行動 1118日から20日まで、千葉県の幕張メッセでの開催が強行された日本初の総合武器見本市「DSEI JAPAN」と市民による抗議行動に関する報道をまとめました。

アーカイブはありませんが、1118日のTBSNEWS23」での、イスラエル軍需大手「ラファエル」の担当者にミサイルが「戦場で実証済み」であることを明言させた追及は出色でした。また、TBS「あさチャン!」「グッとラック」、テレ朝「ワイド!スクランブル」などのワイドショーでも、時間を割いて報じられました。

 

<動画ニュース>報ステ】世界最大級“武器の見本市”日本初開催(19/11/18) https://youtu.be/wrB2tzKqmUQ 防衛装備品 総合見本市 日本で初めて 今なぜ?(11月18日、NHKニュースウォッチ9) https://youtu.be/frwnvhgONDQ

日本で初の“武器見本市” 世界市場との連携狙う(11月18日、テレビ朝日) https://www.youtube.com/watch?v=TK_Au7Ln_nU&feature=youtu.be https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000169464.html

なぜ 国内初の“武器見本市”開催、陸自の最新戦車も展示(11月18日、TBS) https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3833323.html

“武器見本市” なぜ日本で?(11月20日、テレ東NEWS) https://www.youtube.com/watch?v=Xwm_V8Lg_lc

“国内初”見本市に内外150社(11月18日、テレ東「ゆうがたサテライト」) https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/you/news/post_190502/

<ニュース> 防衛装備品の見本市 国内初の開催 その背景は?(11月18日、NHKhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20191118/k10012181901000.html

死の商人 日本にいらない」 幕張で武器見本市 市民ら抗議の声~輸出の動き 活性化させる政権(11月19日、東京) https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019111902000148.html https://news.line.me/issue/oa-tokyoshimbun/966455a2cbd8 防衛産業、宇宙など新領域へ 国内初の見本市(11月18日、産経) https://www.sankei.com/economy/news/191118/ecn1911180020-n1.html

日本初の総合防衛展示会、幕張メッセで開幕 市民団体の抗議行動も(11月18日、毎日web) https://mainichi.jp/articles/20191118/k00/00m/040/297000c

陸自の最新戦車からサイバー対策まで…日本初、防衛装備見本市が開幕(11月18日、産経) https://www.sankei.com/west/news/191118/wst1911180015-n1.html

千葉・幕張メッセ 武器見本市を強行 市民抗議「見過ごせない」(11月19日、しんぶん赤旗https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-19/2019111915_03_1.html 東京五輪テロ対策も―幕張メッセ「武器見本市」(11月20日、時事) https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112001284 ※記事中に「紛争当事国には輸出できない」とありますが、「紛争当事国」を極めて狭く定義しているため、事実上輸出が可能となります。

防衛相、装備品見本市を視察 地上イージスなど展示(11月20日、共同) https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1028806.html

[社説]政府の武器輸出支援 平和主義の理念にもとる(11月20日琉球新報https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1028408.html

「日本はすでに憲法変更」!? 武器見本市の公式ガイドに(11月21日、しんぶん赤旗https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-21/2019112115_02_1.html

<記録動画> 【ダイジェスト】 武器見本市DSEI JAPAN 大抗議アピール(labornetTV、撮影:湯本雅典さん、5分46秒) https://www.youtube.com/watch?v=Km8CHmKeegY&feature=youtu.be

ボトムアップチャンネル] 20191118 武器見本市に市民ら抗議(3分21秒) https://youtu.be/2t2tRhOkO1M

【フル動画】 2019/11/18 死の商人おことわり 武器見本市NO! 11.18 大抗議アピール(撮影:川島進さん、1時間) https://www.youtube.com/watch?v=b576k0fQx3c&feature=youtu.be

2019.11.18 武器見本市 NO!大抗議アピール@幕張メッセ前(撮影:Kenさん、68分) https://www.youtube.com/watch?v=qjcSx9aq8tc&feature=youtu.be

20191117 UPLAN 「武器見本市」開催抗議スタンディング~大抗議アピール@幕張メッセ https://www.youtube.com/watch?v=z33i70DHK-I&feature=youtu.be

<ブログなど> 響く「武器見本市NO!」の声~「DSEI Japan」抗議行動に400人超の市民 (11月19日、日刊ベリタhttp://dlvr.it/RJY9WX

武器見本市はいらない。DSEI JAPAN 2019の中を小酒井赤旗記者と視察しました。(中村きみえ千葉市議のブログ) http://kimienakamurajcp.livedoor.blog/archives/4228058.html

強行された武器見本市「DSEI JAPAN」、会場の幕張メッセ前で抗議の声を上げました(寺尾さとしのブログ) http://teraosatoshi.blog.jp/archives/1076241385.html

武器見本市「DSEI JAPAN」主催者の浅利眞が入場者を強制排除の暴挙!(杉原こうじのブログ) https://kosugihara.exblog.jp/239786595/

                            

                                  (以上)

No.749(2019.11.8)自衛隊の南西シフトについて

情報・意見

(参考図書)

小西誠:『自衛隊の南西シフト』社会評論社 戦慄の対中国・日米共同作戦の実態  

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(参考)下の地図をご覧ください。

先ず、“ 極東 ”という概念。我々が日々見ている世界地図は、日本が真ん中にあって西にアジア・ヨーロッパ。東にアメリカ大陸。しかし、欧米から見た世界地図は違う。

このようになっている。日本は“極東”、まさに世界の東の果てにあり、落っこちそうな位置にあるようにすら見える。

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一方、中国側から見た日本列島

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米国の「オフショア・コントロール」軍事戦略(後述)では、日本列島~琉球列島弧~台湾~フィリピン~ベトナムを結ぶ線を「第1列島線」とし、ここを海上封鎖すれば、中国からの輸出品を輸送する船舶の航行は封鎖することができる

 

自衛隊の「南西シフト」三つのポイント週刊金曜日5/24号)(No.1233)を読んで。 

 

自衛隊の「南西シフト」

 

★ポイント1「日本を守る」でなく、

       「日本を盾にする」

・小西誠氏(元自衛官の軍事ジャーナリスト)によれば、今年3月から展開が急ピッチで進んでいる、沖縄・宮古島・鹿児島・奄美大島への自衛隊配備

 この配備の根拠となっているのは、米国国防大学戦略研究センターでの「オフショア・コントロール」という防衛戦略だという。これは、国防費削減を続けなければならない米国が、自国の経費負担を減らしつつアジア太平洋地域への影響力を維持するためのものである、という。

・仮に中国との軍事衝突状態が突発するとしても、米国から遠く離れた地域での「海洋限定戦争」にとどめ、米中全面戦争にエスカレートさせないことを目的にしている。

・ここで、「捨て石」として設定されているのが、米国が「第一列島線」と位置付ける宮古島石垣島など南西諸島という事になる。

日本を防衛するためというよりも、米国の影響力維持のために日本を「盾」にするという戦略だ。

・ではなぜ、2015年に改訂された「日米防衛協力のための指針(ガイドラインがその前提となる配備なのか。それは、この中で、「南西諸島においては自衛隊が主体となり、米軍がその作戦を支援する」という役割分担が明示されているからだ。

 つまり、米国の軍事戦略であるにかかわらず、最前線を担わされるのは日本の自衛隊なのである。

・そして、安倍自民党政権はこの「指針」に従い、の自衛隊の「南西シフト」が立案され、先ず2016年に与那国島、2019年に宮古島奄美大島への自衛隊配備が着々と実行に移されている

 

★ポイント2中国の「進出」が先か、

       米日の「威圧」が先か

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・前出の小西誠氏によると以下のように説明されている。「海峡封鎖≫と言うと、中国の中国の軍用船の通過だけを阻止するだけと思われがちだが、『オフショア・コントロール』戦略では、中国から輸出製品を運ぶコンテナ船なども、海洋封鎖の対象となるり、中国の輸出入経済への”妨害”も戦略に織り込まれている」という。

陸上自衛隊研究本部の中澤剛氏(2013年当時、一等陸佐)が『陸戦研究』(陸戦学会)での論文で、次のよう解説している。

・「(オフショアコントロール戦略は)、中国の弱点である輸出依存経済に着目し、いざとなれば遠距離経済封鎖を中国に強制しうる態勢を平素から誇示することで、『中国を現行の国際秩序に従わせる』という目的を達成しようとするものである」。

・言い換えれば、中国の「海洋進出」に米日が「対応」しているのではなく、逆に米日の「威圧」戦略が先行して存在し、それに中国が「対応」する形で軍事増強を進めているという構図。

・(しかし、防衛省はこの点を意図的に隠して「南西シフト」の配備を進めている

・そして、〈即応展開〉のために与那国島石垣島宮古島に配備された「先遣部隊」、(一次展開)のための「即応鼓動連隊」、(二次展開)のための「機動師団・旅団」、(三次展開)のための「増援部隊」という態勢で「南西シフト」は、与那国島から種子島馬毛島まで南西諸島全体で急速に新基地建設が進められている

新しい「防衛大綱」「中期防衛計画」では、南西諸島のいずれかに「防衛島嶼防衛用高速滑空弾部隊・2個高速滑空弾大隊」の配備も盛り込まれている。

 

 (注)新しい「防衛大綱」「中期防衛計画」       f:id:syounantheo:20190526144911j:plain

 

    詳細は、下記の防衛省ウェブサイトを参照ください。

https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/index.html

            

 

★ポイント3軍事緊張を常態化し、9条改憲へ誘導する

 

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・前出の小西さんによれば、宮古島奄美大島に配備された陸自の「守備部隊」も、島の住民を守るためのものではなく、ミサイル部隊を守る配備されたものであり、今後大幅に増強されるに違いない。

・さらに、各島の民間空港の「軍事共用」化や港湾の「軍港」化も検討されている。既に複数の防衛省関係者は、南西諸島に対して「不沈空母」という表現で言及している。

軍事緊張の常態化は、9条改憲を目論む安倍政権にとっては実に好都合である。「中国が南西諸島を標的にしている」から「自衛隊なしでは島々を守ることはできない」というキャンペーンを展開し、この地域で意図的に「有事」を創り出すことで、9条改憲への世論誘導に利用している。

自衛隊の「南西シフト」が「日本や島々を守るための態勢ではない」ことを広く共有し、配備に抗うことが、日本国憲法の下、平和な地で暮らす権利を守るために重要な課題となっている

 

                                  (了)