湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.754(2020.1.11)「戦場体験放映保存の会」の紹介

《紹介》

「戦場体験放映保存の会」という、地道な活動を続けるグループを知った。

東京新聞』2020.10.11付、(こちら特報部)記事を読み、納得できたので概略を紹介します。

また、そのグループのウェブサイトも後半で紹介します。

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(1)この会の趣旨と経緯は、こうだそうです。

 「戦争体験世代が他界していく中で証言を残そうと2004年、元兵士と若い世代の約100人の賛同により発足。2010年から「全国キャラバン」を編成し、全国規模で20才代から40才代を中心としたボランテイアたちが体験談の聞き取りを続け、収集した証言や手記などは、ネット上の「戦場体験史料館・電子版」で少しづつ公開している。」そうだ。

・この会のきっかけは、2002年に遡るという。

 当時社会党の代議士だった、故 上田哲 氏が主催する ”マスコミ世論研究所”  というのがあったそうで、上田代議士は、公衆電話から10円玉で行政官庁に自分の意見を伝える「十円玉運動」というのを提唱していたそうだ。

・これを知った、現在この会を中心的に運営している中田順子さんという人が、「草の根の言論は民主主義の基本。マスメデイアに負けない言論を掘り起こそう。」と意気に感じて、上田哲氏らと共に、中央省庁の電話番号を刷ったビラを傍らで配り始めたという。

・やっているうちに、上田哲氏らが立ち上げたネット放送局で戦場体験を放送する企画が持ち上がり、始まった。やってゆく中で,中田順子さんらは、「若い世代は戦争を知らない。(高齢の)語り手も、戦争体験が伝わっていないと感じ、「世代間の認識の溝に橋をかけられたら」との思いで、大々的に証言を集めることになり、2004年に、この「保存の会」が発足したという。

・新聞でも「体験募集」を呼びかけると、中国大陸や東南アジアの戦線、沖縄での地上戦、敗戦後のシベリア抑留・・・。さまざまな戦地にいた人やその家族などから連絡があり、取材対象者は二千人に膨れたという。

硫黄島での極限の闘い。戦場で民間人までも敵だと思って殺してしまった人。・・・ 

・「怖いのは、何かを成すためにと、戦争が是認されてしまうこと。体験世代がいなくなったらその空気はもっと濃くなる。それはもう始まっている。戦争やテロに巻き込まれたり、他国から侵略を受けたりするかもしれないからと、戦争には反対でも軍隊は必要と考える人も少なくない。こうした空気に乗じるように、安倍政権は軍備を増強する。」

・「「だけど」と中田さんらは考えている。そもそも戦争をしてでも成さねばならない何かってあるのか。ニュースを見ていると、若い人たち国益のためなら、してもいい戦争があると思うのかもしれない。戦争は適度にやったら勝てると思うのかもしれない。でも今、世界のどこかの戦場で兵士たちが見ている光景は、75年前に日本兵たちが見たみじめな光景と変わらない。」「戦争になったらあらゆる自由はなくなる。公共の利益を盾にして人権も制約される。戦争をする社会は、自分で生死を決められない。」

・「だから、「それでも戦争を肯定するのかどうか」を考えてもらうために、生の証言や記録を集める。どんな立場の人でもこだわらない。「無色」と「無償」「無名」がモットー。」

・伝え方は難しい。問題は、戦争体験に興味を持つ回路や時期が人によって違う事。 

SNSが発達した今は効きたい事だけを聞き、見たいものだけを見る傾向が強まっている。一人が見る情報には偏りがあるとも感じる。

・岐路に立つ若い世代のために、ひたすら残す。歴史の教科書には出てこない、「集めた証言が戦争を拒む力となるように、私達にできるのはそれだけ。」 と中田さんらは言う。 

 

(2)この会が発信するウェブサイトを紹介します。

「ここは戦場体験放映保存の会が運営する戦場体験史料館のウェブサイトです。」

戦場体験史料館  (クリック)  http://www.jvvap.jp/

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戦場体験放映保存の会について (about us) 2012-08-15

 もうすぐ消えてしまう戦場体験を、なんとか後世に遺さなくてはならない。 

 この危機感を同じくする元兵士と若者が手を携え、2004年12月、戦場体験放映保存の会は発足しました。

 元兵士・軍属、民間人として、あの戦場を知るお一人おひとりの体験談を、ビデオなどに記録する活動に取り組んでいます。 

 これまでに収録した証言は2500余。あの未曾有の戦争を語るには記録の集積はまだまだ足りません。「語らずに死ねるか」という痛切な思いを抱える元兵士・軍属・民間の戦場体験者はたくさんいるのです。 2010年からは「全国キャラバン」を編成し、全国規模で体験談の聞き取りを行っています。

  残された時間はもうあと僅か。今、切実に、この運動に関わっていただける方を求めています。

 体験者の皆様、ぜひあなたの体験をお聞かせください。資料のご提供もいただければ幸いです。若い方も、お知り合いの戦場体験者をご紹介ください。ボランティアとして関わっていただける方もご連絡をお待ちしています。 

 念のために申し上げますが、この保存運動は、あくまで体験者の「生の声」を真正面から記録します。「無色・無償・無名」を唯一の原則として、それぞれの考え方や立場を尊重しあいながら、ただ戦場体験を語り継ぎ・記録するという一点で手をつなぎ合い、たいせつな歴史として記録しおきたいと願っております。

 

「戦場体験リストについて」

  • 千人いれば千人の戦場体験があります。膨大な戦場体験記録を整理するため、「戦地」と「時期」の2つの観点で体験記録を分類します。
  • 複数の年代・戦地にまたがる体験をお持ちの方の場合は、複数箇所にお名前が掲載されています。ただしリンク先のページは同じです。
  • このリストによって、お一人おひとりの体験がどの戦地のどの時期に該当するのか一覧化することができます。

  検索のしやすさだけでなく、未曾有の総力戦であったあの戦争の地域的・時間的な

  広がりを感じていただくことが狙いです。

 

《催しの一例》

2019年6月22日(土)~23日(日)
会場:八重洲ブックセンター本店8階【入場無料】 

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