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No.751(2019.12.6)日本の教育(OECD調査)から考える

《情報・意見》

 2019.12.4付の各紙に、各国の(高1の学力OECD調査)という、非常に大きな課題を抱える、日本の初・中等教育の現状が報告されている。

 調査は、OECD加盟の42カ国・地域の約60万人が参加し、(数学的応用力)、(科学的応用力)(読解力)の三分野で行われた。日本は無作為抽出で国公私立183高校の約6100人の参加調査が実施された。

 平均得点の全体比較で、(科学的応用力)(読解力)(数学的応用力)三分野の全てでトップは、「北京・上海・江蘇・浙江」が参加した中国だった。シンガポールマカオ、香港 などが上位3位を占める。

 

ここでは、『東京新聞』2019.12.4記事を参考にして、問題点を考えたい。

 

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         (図1)


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                   (図2)
 

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                  (図3)

                 

・ 経済協力開発機構OECD)は、2019.12に、79カ国・地域の15才を対象に、2018年実施の「学習到達度(PISA)」の結果を公表した。

日本の高校1年生の特に国語読解力は15位で、8位だった2015年の前回調査から低下し、点数も下がり、海外上位層との差が広がった。低下は二回連続。(図1)(図2)

・紙面で指摘されている問題点のポイントは次のように要約されている。

(1)非科学的指導

・数学の本質は計算ではなく、問題文を読解することから始まる。

・授業は、(本来的には)既に正しいとされていることを証明し、再確認することに始まる。数学の知識があっても、問われている問題の意味が理解できなければ本当の学力とは言えない。暗記だけでは始まらない。

・背景にあるのは、これまで、文科省:「学習指導要領」の改変内容に大きく問題がありそうだ。小学校入学段階で既に、語彙量の低下と指摘されてきている。学校現場でも、「文章を読めない子どもが増えてきている」ことが指摘されて久しいという。

・家庭の経済力の影響はどうか? (図3)

今回のPISAでは、家庭の経済力や文化的水準が学力に及ぼす影響も調べられた。結果、日本の平均はOECD平均を下回り、全参加国・地域で下から4番目だった。 

 

《評価》

・読解力は、言い換えれば、文章を理解して熟考し、考えを表現し、自らの可能性を拡げる力。それが社会に参加するための基礎になる。

・2022年度から本格実施される高校の新学習指導要領では、国語を「論理国語」「文学国語」などに再編するというが、文学界からは、文学が片隅に追いやられるとの指摘が強い。

・調査では、読書についてこう分析されてもいる。雑誌以外では、「読む」グループの方が「読まない」グループよりも得点が高く、最も得点差が大きいのは小説や物語などのフィクションだったという。次いで、新聞、漫画となっている。

ここでも、じんわりと、読解力の格差が生まれているのではないか?

・いうまでもなく、より深刻なのは基礎があやしい低学力層が相当いるという事にもある。 

・他方で、読解力育成のために、社会や理科など国語以外の教科でも、文章のまとまりなどを意識した授業改革に取り組み始めた学校もある。

これが、長期的に子どもたちの未来を拡げるために、水となり、肥しとなるのだろう。

・しかるに、今年度の自民党による補正予算(案)の目玉の一つとして出されているのが、全義務教育現場で子ども各人に1台のパソコンを配布(数兆円)というば場当たり・バラマキ教育行政が目論まれている。

安倍政治の、(教育基本法改変)に始まる教育破壊の現実の姿として、「考えることから遠ざかる」人材(育成)のなれの果てを補強する、上記のような調査結果として現れている。

                                 (以上)