《紹介》
””民主主義ってなんだ! これだ!”” この数年前の国会前などでのシュプレヒコールを思い出す。
”民主主義” を単なる政治のやり方だと思うのは間違っている。
”民主主義” の根本は、みんなの心・精神・生き方の中にある。
戦後、文部省は中高生向けに一冊の教科書を刊行した。
民主主義の真の理念と歴史、実現への道のりを、未来を託す少年少女へ希望と切望をもって書くこの書物(学習教材)は、今こそ読み返す価値のある名書だと思って読み返してみた。今では教科書副読本としては考えられないものではなかっただろうか。
原書は、下記の ①『民主主義』文部省著作教科書:文部省著(角川ソフィア文庫 2018.10.24発行 文庫版 461ページ 920円)
もう一つの書物はその解説版、②『民主主義』(一九四八-五三)中学・高校 社会科教科書エッセンス復刻版(幻冬舎新書 2016.1.30発行)254ページ 800円)
いずれも、平易には書かれているが、数度読み返してみなければ理解しえたとは言えないほどで、含蓄ある二冊の書物だと思った。
また、現在の政治に対する警鐘とも言えるものではないかとも思った。
①原書の紹介文として、内田樹氏が次のように記している。
「「民主主義」ーー果たしてその意味を私たちは真に理解し、実践しているだろうか。昭和23年、文部省は新憲法の施行を受けて当代の経済学者や法学者を集め、中高生向けに教科書を刊行した。
民主主義の根本精神と仕組み、歴史や各国の制度を平易に紹介しながら、戦後日本が進む未来を厳しさと希望をもって若者に説く。
普遍性と驚くべき示唆に満ちた本書はまさに読み継がれるべき名著といえる。
全文収録する初の文庫版」
②のあとがきにはまた、このように記されている。
「民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、間違いである。民主主義の根本は、みんなの心の中にあるーー1948年~53年に中学・高校生用社会科教科書として使われた『民主主義』(注:前記)は、民主主義とは何か、選挙権の意義、多数決の功罪など幅広い内容を、当時の一流の学者陣がやさしく格調高い文章で解説。
民主主義に最も真剣に向き合った時代の日本人の熱い志に溢れ、戦後社会の大きな転機を迎えた今、ますます輝きを放つ。
この知る人ぞ知る名著から重要な部分を厳選した。中学・高校生から大人まで必読の一冊。」
(注)①『民主主義』の目次
(以上)