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No.760(2020.3.24)南西諸島の軍備強化:「島嶼防衛戦争」(その2)

南西諸島の軍備強化 「島嶼(とうしょ)防衛戦争」(その2)

《現状認識》

「武器輸出反対ネットワーク」(NAJAT) ほかの皆さんの、全国各地での軍拡に抗する活動レポートから要約。

・(参考)陸上自衛隊のホームページ、https://www.mod.go.jp/gsdf/

・(NAJAT)は、下記で検索できます。

(ブログ)https://najat2016.wordpress.com/ または、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)

 

(1)水陸機動団と島嶼防衛戦争 

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2018/3、陸上自衛隊島嶼防衛を主な任務にする水陸機動団が創設された。現在、恒久配備先とされている長崎県佐世保市相浦に団の本部が置かれている。約3千人規模の部隊。

陸上自衛隊のホームページには、「四方を海に囲まれた国土、また数多くの島嶼部を有するわが国の領土を、他国に侵略された際に、海上から迅速に機動展開し奪回することを任務とする」と記されている。

機動団には17機のオスプレイが配備される予定。これに対し、住民や地元の漁協の強い反対で配備の目途は立っていない。水陸機動団は沖縄本島北部にあるキャンプシュワブ、その南側に隣接しているキャンプハンセンにも作られると言われてる。全体としては、佐世保など九州北部に作戦部隊をつくり、沖縄本島辺野古新基地やキャンプシュワブ、キャンプハンセンに作戦を実行する司令部をつくり、そして奄美大島には後方支援のための弾薬庫などをつくり、宮古・石垣・与那国に前線基地をつくっていくという、島嶼防衛戦争と言われるものの構図が出来上がってきている。

これらの自衛隊基地というのは、独立して運用されるのではなく、米軍の指揮下で運用される。自衛隊「防衛大綱」には、米軍と自衛隊は施設・区域の共同使用を拡大していくと明記されている。2027年に、当時の沖縄駐留米軍の最高司令官であったニコルソン四軍調整官が、「全米軍基地は自衛隊と共用する」と発言した。だから、「これは自衛隊基地であって米軍基地ではない」とは言えない。むしろ米軍の指揮下で自衛隊が動かされるという構造を抑えておく必要がある。行政から島民への情報提供がなく、オスプレイが飛び交う状況に、必ずしも基地建設に反対していない一部の島民にさえも戸惑いが広がっているという。

 

(2)軍民混在の島嶼防衛戦

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もう一つの特徴が、「軍民混在の島嶼防衛戦」という性格。

2012年の陸上自衛隊富士学校、ここは防衛大臣直轄の隊員養成学校。そこの教官が隊内の雑誌に書いた論説には、周囲360度を海に囲まれた離島に敵の部隊が攻めてきて上陸したとき、そこに駐留する自衛隊がそれを追い返すことはできないと結論づけている。離島だからどこからでも上陸できる。それが過去の“沖縄戦”の教訓だと言っている。

そうなった場合には、敵に先に離島を占領させた後、ごく一部の部隊を残して、あとは離島から撤退する。ただし島民は中に残しておく。そして、敵が上陸した後、自衛隊が強襲上陸して奪回する。これが「島嶼奪還」と呼ばれる作戦。

そうなったときに、島を取り返しに行く際は、軍民混在の島嶼防衛戦を行うと書かれているそうだ。これはまさに、過去の沖縄戦の末期と同じこと。住民を盾にして、少しでも戦いを長引かせる。2013年に、陸・海・空の自衛隊が、沖大東島で演習をしたときに、この想定で行ったと『琉球新報』が報じていたという。

 

            (島嶼防衛戦争のイメージ図)

 

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                                   (了)