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No.742(2019.9.30)靖国神社での抗議行動

 情報・意見 

 「靖国神社の参道で抗議活動の意志表示。香港運動家ら拘束10カ月」というショッキングな報道がなされた。(以下、『東京新聞』2019.9.24付(こちら特報部)記事を参考に。)

これは、現在の自民党・安倍政権下でのあらゆる市民活動に対する弾圧の強化・懲戒のファシズムそのものである

 

(記事概略)

靖国神社の参道で、旧日本軍の戦争犯罪に抗議した香港の運動家ら二人の身柄拘束が、逮捕から十カ月も続いている誰でも立ち入り可能な場所で抗議活動しただけなのに大罪のような扱い。検察は二人を建造物侵入罪で起訴し、懲役一年と同十月をそれぞれ求刑した。専門家は「微罪を思想弾圧の道具とする傾向が一層強まっている」と警告する。

・「私がなぜ靖国神社で抗議行動をしたのか。戦争中に日本軍が中国で何をしたのかを知っていたら、理由は理解してもらえると思う。」八月に(弁護士に)東京拘置所で面会した郭紹傑(グオ  シウ  ギ)被告(五五才)はアクリル板越しにこう訴えた。

・郭被告は」靖国神社で何をしたのか。

 昨年十二月十二日午前七時、外苑の神門と第二鳥居の間の参道に立ち、「南京大虐殺を忘れるな。日本の虐殺の責任を追及する」と中国語で書いた横断幕を広げ、「打倒軍国主義」などとカメラの前で叫んだ。足元には「甲級(A級の意味)戦犯、東条英機」と書いた高さ三十センチほどの縦長の紙箱を置き、燃やした。 

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・翌十三日は、中国の人々にとって忘れられない日だ。八十一年前、一九三七年のこの日、旧日本軍は中国の当時の首都・南京を占領した。靖国神社で抗議するのは、A級戦犯とされたかつての戦争指導者たちが合祀されているからだ。

靖国神社の警備員がその場で郭被告を取り押さえた。行動の動画は、同行した香港の民間ラジオ局「民間電台」の記者、厳敏華(イン  マン  フ)被告(二七才)が撮影して香港の仲間に送信した。

この日から二人の身柄拘束が続き、二十六日に建造物侵入罪で起訴された。計七回の保釈請求は「決まった住所のない外国人で証拠を隠す恐れがある」などの理由で、いずれも認められなかった。

・弁護人の一瀬敬一郎弁護士は「二人は誰でも立ち入れる参道に立入っただけで、建造物に入ったわけではない。郭さんの行為は日本政府と靖国神社に抗議し、厳さんの行為は記者として取材報道するのが目的だった。」と無罪を主張する。

・今年三月に始まった裁判では、公安事件として毎回厳重な警備が敷かれた。証拠調べが終わり、八月下旬の第七回公判で検察側が求刑した。郭被告は懲役一年、共犯とされた厳被告は同十月だった。

・その直後の同月、(東京新聞)記者が東京拘置所で厳被告に面会した。「私は記者として二分間、カメラを回しただけ。懲役十月の求刑はショックだ」と語った。郭被告との共謀を否定し、「日本の自由と民主主義を信じたい」と話した。

 

市民運動弾圧の典型 

検察裁量で刑罰適用拡大 

「ここまで取り締まる」先例づくり

二人とも市民活動に絡んで香港で拘束されたことがあるという。「処遇は日本のほうがまし」と言っているらしいが、香港では一泊二日か長くて数日。求刑すら十カ月なのに、日本での身柄拘束は間もなく十カ月に達する何かおかしくないか? 「人質司法」という言葉すら生易しい異様さではないか?

 

・郭被告がこのような抗議行動に出た背景もある。

・米国と開戦した日本が最初に占領したのが、イギリス領だった香港だ。一九四一年十二月から三年八カ月、軍政下に置いた。殺戮や略奪も多発したという。

・一九七二年に日中の国交は正常化した。その後、日本社会は加害の歴史に目を背けてきた。最近はその傾向がますます強まっている。謝罪も償いも受けられなかった人々に不満が高まっている。

靖国神社はアジアの人々にとって先の戦争の象徴だから、日本社会が戦争責任に向き合わない限り、同様の抗議は繰り返されるだろう。

・建造物侵入罪というが、そもそも「建造物」に侵入したのか? しかも、抗議活動をしたのは建物外の外苑の参道。屋外で道路から簡単に入れる場所だった。靖国神社側は「参道目的以外の立ち入りを認めておらず、観光客は黙認しているだけ」という証言をしているという。しかし、建物物侵入を唯一の罪として、検察官の裁量で適用が拡大されるなら、市民運動の弾圧にも使える。

※(注)他の弾圧事件も頻繁に起きている。(いずれも、二〇〇四年に起きた。)

・「立川テント村事件」:東京・立川の自衛隊官舎の集合ポストに反戦ビラを投函した市民グループの三人が住居侵入罪に問われた。

・「政党ビラ事件」:東京・葛飾区のマンションのドアポストに日本共産党の議会報告ビラなどを入れていた男性が同罪に問われた。

・立川の事件では日中に平穏のうちに行われたビラまきが住居侵入だとして逮捕され、長期間、拘束された。住居でも建物でも、付随した土地での管理者の意に反する行動はすべて侵入罪に問われかねない。特に政治色を帯びた活動が狙われ、思想弾圧の道具にも使われる。

・さらに今回、香港の二人の拘留が長期に及んでいる。建造物侵入しか罪状がなくても、ここまで取り調べられる先例をつくる非常に危険な裁判である。

 日本の市民社会を委縮させる可能性・危険性・効果を帯びている。大変危険な裁判である。

 先年の、森友事件の籠池夫妻の長期拘留、また、沖縄・辺野古での山城 博治リーダーの長期拘留も同じ根を持っている

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        ファシズムの入り口を我々は超えさせられているのだ!

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