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戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.720(2019.6.20)軍国主義の復権の支柱

読み比べてみよう、教育勅語』原文と今風の表現    

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朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ 我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス

爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及シ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ

是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺󠄁風ヲ顯彰スルニ足ラン 斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ俱ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス 朕爾臣民ト俱ニ拳々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

                      明治二十三年十月三十日  御名御璽

  

高橋源一郎訳 教育勅語 では、 

(1)はい、天皇です。よろしく。僕がふだん考えていることを今から言うのでしっかり聞いて下さい。

もともとこの国は、僕たち天皇家の祖先が作ったものなんです。知ってました?

とにかく僕たちの祖先は代々、みんな実に立派で素晴らしい徳の持ち主ばかりでしたね。

(2)君たち国民は、いま、そのパーフェクトに素晴らしい僕たち天皇家の臣下であるわけです。そこのところを忘れてはいけませんよ。その上で言いますけど、君たち国民は、長い間、臣下としては主君に忠誠を尽くし、子どもとしては親に孝行をしてきたわけです。

(3)その点に関しては、一人の例外もなくね。その歴史こそ、この国の根本であり、素晴らしいところなんですよ。そういうわけですから、教育の原理もそこに置かなきゃなりません。君たち天皇家の臣下である国民は、それを前提にした上で、父母を敬い、兄弟は仲良くし、夫婦は喧嘩しないこと。

(4)そして、友だちは信じ合い、何をするにも慎み深く、博愛精神を持ち、勉強し、仕事のやり方を習い、そのことによって智能をさらに上の段階に押し上げ、徳と才能をさらに立派なものにし、何より、公共の利益と社会の為になることを第一に考えるような人間にならなくちゃなりません。

(5)勿論のことだけれど、僕が制定した憲法を大切にして、法律をやぶるようなことは絶対しちゃいけません。よろしいですか。さて、その上で、いったん何かが起こったら、いや、はっきり言うと、戦争が起こったりしたら、勇気を持ち、公のために奉仕して下さい。

(6)というか、永遠に続く僕たち天皇家を護るために戦争に行って下さい。それが正義であり、「人としての正しい道」なんです。そのことは、君たちが、ただ単に僕の忠実な臣下であることを証明するだけでなく、君たちの祖先が同じように忠誠を誓っていたことを讃えることにもなるんです。

(7)いままで述べたことはどれも、僕たち天皇家の偉大な祖先が残してくれた素晴らしい教訓であり、その子孫である僕も臣下である君たち国民も、共に守っていかなければならないことであり、あらゆる時代を通じ、世界中どこに行っても通用する、絶対に間違いの無い「真理」なんです。

(8)そういうわけで、僕も、君たち天皇家の臣下である国民も、そのことを決して忘れず、みんな心を一つにして、そのことを実践していこうじゃありませんか。以上!

                                                   

                        明治二十三年十月三十日 天皇

 

(注)高橋 源一郎:(1951生)小説家、文学者、文芸評論家。明治学院大学教授

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・『教育勅語』は、明治天皇から授けられた「教え」を基にする臣民教育の基礎であった。

 戦後の憲法教育基本法は、軍国主義を支えた根本原理としてこれを否定した。

 これは決して、GHQ(連合国軍総司令部)に押し付けられたものではなく、「基本的人権」などと共に、数多くの民間の憲法研究会他が公表した「憲法草案要綱」にもあった基本概念だった。 

・しかし、安倍政権首脳からは、「教育勅語」を容認する発言が後を絶たず、(日本会議)ほかの強固な基盤に支えられている。

 第一次安倍政の2006年に、「教育基本法」が改訂され、教育目標に「愛国心」が盛り込まれた。 

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安倍内閣肝いりの「教育再生会議」は、道徳の教科化を強行し、第二次安倍内閣で小・中学校で教科書検定を道具に、教育現場に押し付けた。

・かつて、「教育勅語」を衆参両議院が排除・失効した1948年に、文部大臣であった森戸辰男氏は、長女の洋子さんが、「マッカーサーがトップではだめなの?」という素直な問いに強い口調でこう断言したという。

「それは違う。どんなことがあっても、これからの日本は日本人一人一人がつくっていかないといけない。」

 それをベースにして、戦後の憲法教育基本法は、軍国主義を支えた根本原理の「教育勅語」を否定し、同年に衆参両院は「主権在民ならびに神話的国体観に基づいている」として、「教育勅語」の排除・失効を決議した。 

・今や隔日の感があるが、自民党閣僚らの容認発言が主流化し、2017年には「憲法教育基本法に反しない形で教材に用いることまでは否定されることではない」とする閣議決定までした。「学習指導要領」での押し付け・締め付け。

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国民を戦争に駆り立てた「教育勅語」は残してはならない。

戦争を経験していない政治家たちは何も見えていない。

先人が何故「教育勅語」を排除したのかを、真正面から考え直さなければならない。

誤りの歴史を繰り返してはいけない!!