湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.714(2019.6.12) ゆで上げられるカエルのたとえ

                  

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 新たな防衛力整備の指針、いわゆる「新防衛大綱」が閣議決定されたのは昨年末。  

 (注:防衛省 ウェブサイトを参照

https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/index.html

 ヘリ搭載型護衛艦の事実上の空母化、敵基地攻撃能力とみなされかねない長距離巡航ミサイルの配備などが盛り込まれた。改修した護衛艦には最新鋭ステルス機の搭載が想定されている。  

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◆戦争に近づく 

 政府は艦船には「戦闘機は常時搭載しない」から空母ではないといい、長距離巡航ミサイルもあくまで防衛のためだという。しかし、いずれも使い方によっては簡単に「攻撃型」に転じ得る。長く守ってきたわが国の原則、「専守防衛」が骨抜きにされていく。 

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 安倍政権は「専守防衛は逸脱しない。心配ない」と言いつつ、この国をまた少し、じわっと戦争に近づけてゆく。そして、思い起こせば、第二次安倍政権になってから、この「じわっ」が続いている。 

 ・きなくさい情報が隠されてしまう特定秘密保護法でじわっ。

 ・過去の政権が「保持しているが行使できない」としてきた「集団的自衛権」を閣議決定で「行使容認」し、じわっ。

 ・同盟国の戦争に加われるようにした安保関連法でじわっ。

 ・反戦運動など市民の自由な行動を縛りかねない「共謀罪」法でじわっ。

 ・そして、空母化や長距離巡航ミサイルで、また…。

 

 そのつど「平和主義は堅持する。心配ない」と政権は言いながら、その実、原則を次々に変質させ、日本はじわじわじわじわと戦争へ近づいている。 

 安倍晋三首相が念願とする九条に自衛隊を明記する改憲は、そのとりあえずの仕上げ以外の何物でもない。 

 もし、政権が「平和主義も専守防衛の看板も下ろし、憲法九条を変え、戦争用の法整備もし、敵基地攻撃可能な軍備を強化して、いつでも戦争をできる国にします」と言ったら、どうなのか。

 個々のことは「政権が『心配ない』と言うのだから」と許容した人も考えを変えるかもしれない。 

 いっぺんに大胆にことを進めるのではなく、漸進。

 まるで、歩哨の目を恐れる兵士の匍匐(ほふく)前進みたいに、じわじわ少しずつ…。 

◆温暖化も人口減も 

 この「じわじわ」というのは本当に曲者(くせもの)。 

 例えば地球温暖化。温暖化防止の国際ルール・パリ協定の締約国会議で協定実施の指針が決決まったが、世界が一枚岩で切迫感をもってこの問題に取り組む体制になったとは言い難い。 

 もし、いっぺんに五度も十度も平均気温が上がれば、さすがに「温暖化はでっち上げ」などという妄言も消えうせまるだろう。しかし、温暖化もじわじわ少しずつ進む。   

 ゆえに、真の脅威と実感しにくい面がある。 

 わが国の人口減にも同じことが言える。今から50年足らず後、2065年には現在より4千万人も減って8千万人台になると、ほかならぬ国が推計しているのに、まだ、政治は成長主義一辺倒。成長の限界の先を豊かに生き抜いていける道を、保・革どの政党もビジョンを示せないでいる。じわじわ少しずつ減っていくからだろうか。 

 私たちには最悪のことはわが身には起こらないと考え、好ましくない兆候を過小評価する心の傾き、いわゆる「正常性バイアス」があるそうだ。 

 また、問題の当事者が多いほど、自分でなくても誰かがやるだろうと高をくくって行動しない、いわゆる「傍観者効果」も働くと、心理学分析している。 

 どちらも「じわじわ」の眩惑(げんわく)力を助長しかねないことを心に留め置かないといけない。 

◆ゆで上げられないよう      

     

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 カエルの話。 

 熱い湯にカエルを入れたら、すぐに飛び出すが、水に入れてじわじわ温度を上げていくと、そのままゆで上がってしまう。 

 よくない方にじわじわ進むこともあるはず。“温度変化”に敏感でいたいものだ

 

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