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戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.696(2019.5.25)「世界連邦」の提言と紹介

 恥ずかしながら、私はこの記事を見るまで、「世界連邦」の提言・呼びかけという国際的な運動を知りませんでした。

 今の国際情勢でユートピアにすぎないではないか、とも言われそうですが、ここには、日本国憲法の不戦と国際平和・協調の精神が盛り込まれており、矛盾はないと思います

 今は、一度に実現するのは現実味がないユートピアという考え方が主流ですが、国家を超えたシステムを徐々に積み上げていって、「気がついたら世界連邦と似たようなものになっていた」ということになるのも夢ではないと思います。概念の中の世界のようですが、トランプや中国に共通と(自分は)考える、覇権主義自国第一主義・武力依存政治などとは一線を画する、究極の世界だと私も思います。

 

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 (その前に知っておきたい事)

・世界連邦を樹立する運動は、国内でも第二次世界大戦か直後から粘り強く続けられて  きたそうです。

   

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 1945年12月、尾崎幸雄らが、世界連邦建設に関する決議案を帝国議会に提出しました。(ただし、廃案になった。)

・その後、世界連邦建設同盟(現在:世界連邦運動協会)など、さまざまな推進団体が発足し、活動が続いています。  

・国会では、2005年に衆院、2016年に参院で「世界連邦実現」を盛り込んだ決議が採択され、参院では、「日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、世界連邦実現への道の探求につとめる」と決議されています。

超党派国会議員でつくる「世界連邦日本国会委員会」(会長:衛藤征士郎衆院副議長)は、今月5月15日に総会を開催しました。

・顧問の伊吹文明衆院議長は、国益がぶつかり合う米中貿易摩擦に揺れる国際情勢に触れ「世界連邦の精神を確認し合うことは非常に大切」と強調。

・この日設置した政策提言機関の座長を務める長谷川裕弘・元国連事務総長特別代表や、共産、社民両党議員は国際連帯税(後述)の重要性を訴えました。

・世界連邦推進日本協議会は毎年、日本大会を開催しています。  

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今年は5月26日に東京・国際協力機構(JICA)地球ひろばで開かれます。ここでは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲(あきら)さん(ピースボート共同代表)らが応援の講演予定です

 

 以下、『東京新聞』2019.5.20付の記事をベースに紹介したいと思います。

     

「国際連帯税」第一歩に 貧困、医療など国境超え支援

         

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 貧困、環境破壊、感染症など地球規模の課題に、国家の枠を超えて対応するため、国内外の団体が「世界連邦」の樹立を目指している。

 第一歩と位置づけるのが、国境をまたぐ経済活動に広く浅く課税する「国際連帯税」の普及。日本は未導入だが、少しずつ広がりを見せる。十一月に名古屋市で開催される二十カ国・地域(G20)外相会合で議論される見通しだ。 

 世界連邦は第二次世界大戦末期、広島、長崎への原爆投下で核戦争への危機感が高まる中、物理学者アインシュタインらが提唱して始まった国際的な運動。

 究極の目標は、国連を改革・強化して、すべての国や民族が参加した世界連邦という共同体を設立し、各国が軍備を撤廃して戦争をなくすこと。多くの関係者は、まず地球規模の課題を、国家を超えた制度によって解決するシステムをつくっていき、世界連邦の土台とする道筋を描く。

 その具体例が国際連帯税。フランスが二〇〇六年に導入し、韓国、チリなど十数カ国に拡大した「航空券連帯税」は国際連帯税の一種で、出国する人の航空券料金に少額(エコノミークラスで数百円程度)を上乗せする制度。導入国の利害に左右されず、国際機関ユニットエイドに拠出され、マラリアエイズなど感染症対策に活用されている。     

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 金融機関による株や債券の取引に課税する「金融取引税」も国際連帯税の一形態。欧州などで導入の動きが広がっている。

世界連邦を目指す国内団体でつくる世界連邦推進日本協議会は、日本政府への政策提言で国際連帯税の導入を訴えてきた。国際組織の世界連邦運動(WFM)も昨年七月、国際連帯税を通じて世界連邦の実現を目指すことを決議した。

 地球規模の課題に充てる資金は従来、各国の政府開発援助(ODA)が頼りだったが、出資国の国益や財政状況に左右されるリスクがある。このため新たな財源として、国際連帯税への注目が高まっている。

 世界連邦の推進団体以外でも、多くの民間団体や非政府組織(NGO)が国際連帯税の拡大を求めている。河野太郎外相は先に記者会見でG20外相会合に触れ「(国際連帯税を)しっかりと取り上げたい。さまざまな国際的な場で訴えていきたい」と明言した。

 六月の大阪市でのG20首脳会合で取り上げられる可能性も。市民社会サミット(C20)は今年四月、安倍晋三首相に手渡した政策提言書で、国際連帯税の導入を明記。民間団体・グローバル連帯税フォーラムも首脳会合の主要議題とするよう求めている。

 日本は今年一月、出国者から千円を徴収する国際観光旅客税(出国税)を導入したが、使途は訪日外国人の受け入れ環境整備。地球規模の人道的な課題に使う国際連帯税とは異なる。