湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.687(2019.5.16)沖縄本土復帰47年(5・15)

 一日遅れの記載ですが、昨日(5/15)の沖縄本土復帰47年について。

沖縄県は15日、1972年の本土復帰から47年を経過した。

敗戦後の米軍統治にあらがった沖縄の人々は、「即時・無条件・全面返還」を掲げて、復帰運動を繰り広げた。

 

f:id:syounantheo:20190515150402j:plain

 

f:id:syounantheo:20190515145115j:plain

 

             f:id:syounantheo:20190515145116j:plain

   しかしその結果、現状では在日米軍専用施設は約70%が沖縄に集中し、県面積の8%超を占めるに至っている。

 昨年10月に、玉城デニー新知事が誕生し、明確に」辺野古移設に反対し、普天間の県外・国外への移設を求めている。

 今年2月の県民投票は、辺野古沿岸部の埋め立て「反対」が70%超を占めた。

 しかし、自民党政権辺野古への土砂の投入を強行しており、3月からは区域を広げた。

 沖縄本島では5月17から3日間、市民らが、例年のように」米軍基地のない沖縄の実現を求めて「平和行動」を展開する。本土でもそれに呼応して、各地で同様の行動が計画されている。

 更に、19日には、宜野湾市で、辺野古移設反対などを訴える大「県民大会」を開く。

                

f:id:syounantheo:20190515145114j:plain

                                                    (例年の行動)

 

※沖縄の主要2紙は、次のように主張している。(社説の一部抜粋)

2紙の論調は、今回、沖縄の振興に力点を置いた。

 

 

 ★『沖縄タイムス2019.5.15付   f:id:syounantheo:20190515152604j:plain

 

[復帰50年に向けて]振興の在り方再考せよ

・沖縄の施政権が返還されてから、今日で47年となる。

・2012年に始まった現行の沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は終了まで3年を切っており、時代の移行期にある。「ポスト復帰50年」をどう構想するか、過去を振り返り、未来を見定めたい。

 

・21世紀ビジョン基本計画が最終年度の目標とする失業率4・0%はすでに達成されている。復帰前後の基地従業員の大量解雇が押し上げ、本土との格差の代名詞の一つともなっていた高失業率は、47年たって全国並みに近づいてきた。

 とはいえ失業率などの経済指標の改善が、「個人の生活の豊かさ」に即結び付いているわけではない。

 格差のもう一つの代名詞である1人当たり県民所得が全国の7割水準にとどまっているのは、非正規労働者の割合が全国一高いという「雇用の質」が影響している。大学進学率の低さもまた無関係ではない。

    ■    ■

・過去の振興計画ではよく「目標を達成できたのは人口くらい」と皮肉を言われたが、人口増が地域の活力となり沖縄の強みとなってきたことは事実である。

 だが、その人口も30年以降、減少に転じると予測されている。人口減少ばかりではない。人口構造そのものが大きく変わろうとしているのだ。

 国立社会保障・人口問題研究所による15年と40年の比較で、県内の全世帯に占める65歳以上の高齢者世帯の割合は29・7%から41・4%、高齢者人口における1人暮らし比率は19・4%から23・9%に増加する。

 介護問題一つをとっても極めて困難な時代の入り口へ差し掛かっていることを突き付ける数字である。

 次期振興計画では現役世代の減少という局面を想定しながら、人口減少にどう立ち向かうかもテーマの一つとなるだろう。

    ■    ■

 沖縄振興体制の問題は多い。21世紀ビジョン基本計画が基軸とする考えは「沖縄らしい優しい社会の構築」だが、福祉や子どもに関する予算は沖振法の中で獲得しにくい仕組みになっている。

 振興と基地とのリンク論も幾度となく繰り返されており、この際「基地維持装置」としての側面も全面的に洗い直すべきだ

 ポスト復帰50年の振興の在り方は、沖縄の未来につながる最大の課題である。

 知事選で「新時代へ踏み出そう」と訴えた玉城デニー知事には強い覚悟と指導力で時代を切り開いてもらいたい。

 

★『琉球新報2019.5.15付 f:id:syounantheo:20190515152605j:plain

 

日本復帰47年 国民主権機能しているか

・沖縄が日本へ復帰して47年を迎えた。米国の施政権下にあった沖縄が日本国憲法に基づき統治されるようになった日でもある。

・復帰と同時に県民は、この憲法とともに歩んできた。しかし憲法の三大原理である基本的人権の尊重、国民主権、平和主義は、沖縄では画餅のごとく、現実の実感を伴わないまま今に至っている。  

・国土の0・6%の県土面積に在日米軍専用施設面積の約70%が沖縄に存在する。広大な基地は依然残されたままだ。その上に名護市辺野古では新基地の建設が民意に反して強行されている。主権在民は果たして機能しているだろうか。甚だ疑問だ。  

辺野古の新基地建設の賛否がまさに争点となった昨年9月の県知事選は言うに及ばず、4月の衆院3区の補選でも明確な民意が示された。  

とりわけ2月に行われた、新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票は投票資格者の52%、約60万人が投票し、72・15%に当たる43万人余が反対の意思を示した

・本紙が3月に行った投票結果への県内首長、議会議長アンケートの結果では、首長の78%、議長の68%が結果を「尊重すべきだ」と回答している。  本紙が実施した全国知事アンケートは、43都道府県から回答を得たが、日米両政府が投票結果を「尊重すべきだ」と直接回答したのは静岡県川勝平太知事だけだった。「民意の尊重こそ主権在民の根本」との考えを示している。岩手県達増拓也知事は2月末の記者会見で投票結果を「重く受け止めるべきだ」と答えた。  アンケートでは2県の知事以外は14人が「どちらとも言えない」と答え、28人が回答を控えた。

この意識の乖離(かいり)や断絶に慄然(りつぜん)とする。  

地方自治の前提である住民主権をないがしろにすれば、自治の正当性が失われないか。他県の出来事と傍観をするならば、主権在民の仕組みが地方自治のレベルから損なわれる。ひいては主権に基づく国家統治の正当性に疑問符がつく。  

・沖縄など一部地域を軽んじ犠牲を強いてきた国の仕組みを昭和、平成の時代は脱却できなかった。多様性を尊重する新たな民主国家をつくりあげる上で、政府が沖縄にどう向き合うか。日本の民主主義を問う試金石ともなろう。  

・一方で復帰47年を経て克服できなかった県民的課題がある。観光産業の隆盛と失業率改善の陰で、貧困や虐待の問題が顕在化している。  

・今年3月公表の県民意識調査で、県が重点的に取り組むべき施策として「子どもの貧困対策の推進」が最多の42%に上った。富の再分配をどううまく機能させるか。県民が熟慮を重ねるべき課題だ。  

広大な基地の配備で県民生活はゆがめられたままだ。調和のある振興策を講じ、真の意味での自治を実現するため新たな方策を構想したい