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No.684(2019.5.13)プルトニウムの蓄積を生む核燃料サイクルの破綻はだれの目にも明らかだ

 政府は、原発の使用済み核燃料を再処理して取り出した「余剰プルトニウム」の保有量に「上限」を設け、余剰分が増えないよう対策を強化するという姿勢を崩さない。
 建設中の六ケ所再処理工場(青森県)の運転計画を認可する際に、プルトニウムを使う量に応じて再処理できる量を制限する。余剰プルトニウムには、核不拡散や核テロ防止の観点から国際社会の懸念が強まっており、米国などから削減を求められていた。
 政府は原発の使用済み核燃料をすべて再処理してプルトニウムを取り出す「全量再処理」を、電力会社に義務づけている。プルトニウムを使うあてがないのに政策を変えなかったのだから当然、膨大な余剰プルトニウムを抱える事態に陥った。「在庫」は原爆6000発分。異常な事態である。
 
 
  
 
 
プルトニウムの蓄積を生む核燃料サイクルの破綻
 
●日本のプルトニウム保有が問題化

 保有国以外で、唯一日本だけがプルトニウムの再処理が認められている。日本は既に47㌧( 原爆6000発分)も保有している。

 再処理は「日米原子力協定」により認められてきた。
 昨年7月に協定は30年の期間を過ぎ、以後は1年単位の延長で、協定を打ち切れる。すると再処理はできなくなる。
 国際原子力機関IAEA)は日本のプルトニウムの大量の保有を懸念しており、米国政府も、北朝鮮の非核化との関係で、日本の「プルトニウム削減の手順の明確化」を求めている。
 政府は「不安定になった」と苦慮している。
 
 
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 使用済核燃料を再処理し、プルトニウムを精製し、「高速増殖炉」でそのプルトニウムを燃料とし、発電しながらプルトニウムを増殖して、安価な発電が可能となるはずだった。
 日本では研究用の高速増殖炉もんじゅ」がほとんど動かずに廃炉となり、世界の各国でも中止されている。唯一継続し、日本が共同研究中の仏国も、計画を大幅に先延ばして、実際に建設するかも不明である。
 プルトニウムの用途として、普通のウラン燃料にプルトニウムを混ぜて使う「MOX燃料」も価格は3倍くらいとなり、通常炉では使用量を制限しないと危険という代物である。
 
●日本の核武装の基礎となるプルトニウム
 日本は宇宙衛星を飛ばすロケット技術と制御技術、アジア一円に張り巡らした偵察衛星、ミサイル兵器の開発と運用技術を持つ世界でも有数の軍事大国である。
 そして自民党の有力者が「核武装」の必要性を繰り返し発言している。
 そしてロシア・中国の核大国と覇権を争っている。政府が実体のない「核燃料サイクル」を止めない理由である。
 
●再処理工場を停止のまま廃止しよう
 再処理工場が稼働すると、1年に8トンのプルトニウムが精製され、大量の核のゴミが産み出される。再処理工場を稼働する前に廃止し、核燃料サイクルを中止させよう。