No.642(2019.4.2)
《紹介・批判》
(注)パンフレット全体を大きく見るには、下をクリックしてください。
☟
「2015年に多数の市民によって否決された「大阪都構想」を、維新の会は再燃さ
せ、公明党と裏取引で再投票を決めようとしたが、法定協議で否決された。すると
知事・市長が勝手に辞職し、市議選・府議選の選挙活動に利用するという自分勝
手な対応を行った。今度こそ、維新の府政・市政を終わりにしたいものである。
前回の「大阪都構想」市民投票でも反対運動を理論的に支えた森浩之氏が、雑誌「世界」4月号に論文を掲載。維新による市民の分断を超えて、共に暮らす仲間として寄り添うことで、包摂都市に変わることを主張している。
維新政治による市民の分断/勝ち組の弱者への怨嗟
前回の住民投票では、反対が賛成を上回り、大阪市は廃止・分割されることを免れた。しかしこの選挙結果は、維新政治による深刻な状況を如実に示すものとなった。
それは市民の間に広がった分断状況を示した。研究によれば、「大阪都構想」について「大阪市が廃止されて消滅する」と正しい認識を持った割合は8.7%に過ぎず、特に賛成派では2%すぎない。
すなわち「都構想」はほとんど理解されないまま住民投票が実施された。
賛成派は「都構想」の内容の是非でなく、維新政治の改革方向=新自由主義的理念と橋下元維新代表の政治手法に魅力を感じて投票したと考えられる。
賛成派が多数を占めた北区などは高所得者が多く、社会的弱者への怨嗟を増幅させてきた維新政治の本質であった。
「大阪都構想」の再燃と虚妄/財政効果はゼロ
前回の「都構想」でも2 重行政の廃止による財政効果は大阪府・市を併せても年間数億で、逆に初期コストが680 億、年間コストが15 億と言われた。
今回の「都構想」については、大阪府・市は140 億の財政効果を示すが、そのほとんどは民営化、民間委託、経費削減で、それらを除外すると4000万程度で、大阪市分はゼロである。
逆に必要となる大阪市の財政負担は、初期520億円、年間コスト24億円である。
もはや「都構想」は財政的には検討に値するものではない。
今回の「都構想」再燃の契機は、万博の大阪開催(2025)であった。
万博会場としては旧万博会場、旧花博会場が予定されていたが、松井前知事によって「夢洲」が会場とされた。
まだ埋め立てが必要であり、土地造成やインフラの整備だけで950億円が大阪市の負担とされる。そして会場建設費1250億円の3分の1が地元負担となる。
それだけでなく、「夢洲」には公認賭博場=カジノを含むIR の誘致と建設が予定されている。
財政民主主義からみた大阪の自治
今回の「都構想」の内実は、大阪市。大阪府の財政悪化を招くものでしかない。2025年に予定される大阪万博は「夢洲」での巨大開発を引き起こし、大阪市に膨大な財政負担を強いる。
「夢洲」開発などの「巨大開発事業」は、大阪市にとって巨大な財政リスクとなる。
大阪市財政は社会保障費、公債返却などの義務的支出が増大している。
市民間の分断を超えた批判が成り立つはずである。
市民として共に暮らす仲間へ寄り添う気持ちを取り戻し、大阪の財政をその観点から再検討すべきである。」