《情報と批判》
直近の新聞報道によると、 「ゲノム編集で双子」と中国で確認されたという。
これに対して、中国政府は一応批判的対応をしているというが、予断を許せない。
以下、2回シリーズで下記を取り上げてみたい。
(1)遺伝子組み換え(GM) 批判→→→《今回はこれ》
(2)遺伝子ゲノム編集(GE)批判
その前に、(シリーズ2)の遺伝子ゲノム編集について、ショッキングな新聞報道があるので引用する。
(『東京新聞』2019.1.23付)社説記事。
ゲノム編集サルでクローン人間誕生
「中国で遺伝子を改変した双子の女児が生まれた。使われたのは品種改良や病気の治療にも役立つと期待の技術。だが、技術があれば人間を改造しても良いのか。
(中略)
これまでは突然変異に期待していた品種改良が、計画的にできるようになった。通常よりも大きなブタやマダイ、日持ちの良いトマトなどが開発された。
人間への応用はどうか。遺伝子に原因のある病気は多く、治療法としての期待が大きい。受精卵などの遺伝子を改変して知能指数の高い子や、容姿の良い子をつくることも可能だとされる。今回は治療ではなく、これに近い。一方、受精卵や精子、卵子に適用すると、改変は子孫に引き継がれる。
(中略)
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前置きはここまでで、今回は、(シリーズその1)として、既に行われている、
遺伝子組み換え(GM)食品について調べてみました。
まず、
GM食品の表示制度に関する経緯は次の通り。
GM食品食品は1996年から輸入が始まったが、その時には表示がなかった。
しかし、この制度は様々な問題点が指摘されてきた。
表示義務が課せられたのは豆腐や納豆、おから、味噌、ポップコーンなど、極めて限られた食品だけだった。
その線引きは、「GM食品か否かを検証できない場合は、表示する義務がない」というものだった。こうして、食用油や醤油など、食品加工の過程で遺伝子やたんぱく質のほとんどが壊されてしまう食品は、表示の対象外になってしまった。
現行のGM食品表示制度が持つ問題点は、そこにとどまらない。原材料の上位3品目(重量比5%以上)だけでよいのである。
EUや中国をはじめとして、最近では台湾、韓国など、多くの国が全原材料での表示を義務づけている。
また、日本では、GM原料の意図しない混入に関しても、5%まで認め、これが「遺伝子組み換え大豆不使用」といった表示を可能にしている。
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※次に、ネット情報からの遺伝子組み換え(GM)について、聞きかじりを参考に。
(1)DNAと遺伝子
生物の遺伝情報を伝えるDNAという、らせん状のひもがある。その中で特定の働きをすることがわかっている部分を遺伝子と呼ぶ。特定の働きというのは、簡単に言うと特定のたんぱく質を作り出すこと。
人間が利用できそうな性質を持った遺伝子を発見し、それを別の生物のDNAの中に組み込むのが遺伝子組み換え。
(2)略称はGM、GMO
「遺伝子組み換え」は英語で“Genetic Modification”、略称「GM」。
GMコーン、GM大豆などの場合の「GM」は“Genetically Modified”(遺伝子組み換えされた)という形容詞句。
「遺伝子組み換え作物」のことは英語では“Genetically Modified Orgasnisms”といい、略して「GMO」と呼ばれる。
(3)通常の交配との違いは?
優れた品種を作り出すために、植物や動物の品種を交配させる(かけあわせる)ことを、人類は古くから行ってきた。
でも、従来の交配が同じ種(稲と稲など)、または近縁の種(ロバと馬など)同士の掛け合わせなのに対し、遺伝子組み換えでは、ほうれん草の遺伝子を豚に組み込んだり、サソリの遺伝子をキャベツに組み込むこともできる。
遺伝子組み換えされた魚を、人工的に作り出された怪物フランケンシュタインになぞらえて、「フランケンフィッシュ」と呼ぶ人もいる。(4)遺伝子組み換えの種類
遺伝子組み換えは、植物でも、動物でも行われていて、作物で一番多いのは、除草剤をかけても枯れないという「除草剤耐性」。除草剤をかけると他の雑草はすべて枯れ、その作物だけが生き残るので、除草の手間が省ける、というのが謳い文句。
(5)遺伝子組み換えの方法
遺伝子組み換えのための手法にはいろいろあるが、一番多いのが「アグロバクテリウム法」。
アグロバクテリウムというのは土の中にいる細菌の一種で、自分の遺伝子を植物の中に組み込む能力を持っている。
「ベクター(運び屋)」として働くのは、アグロバクテリウムの「プラスミド」と呼ばれる部分(遺伝子の一種)。
まずアグロバクテリウムの中からを「プラスミド」を取り出す。
それを目的の遺伝子につなげる。(遺伝子を切ったり貼ったりするには酵素を使う)
それをアグロバクテリウムの中に戻す。
アグロバクテリウムを植物に感染させることで、プラスミドに運ばれて目的の遺伝子が植物の中に送り込まれる。次が、害虫を殺す毒素を持っている「殺虫性」。食べると害虫が死んでしまうため、殺虫剤を減らせる、ということになっている。バチルス・チューリンゲンシスという微生物の遺伝子を組み込んでいるため、その頭文字から「Btコーン」などと呼ばれている。
最近はビタミンAを強化した米(通称ゴールデンライス)や、花粉症緩和米などというものも、遺伝子組み換えによって開発されている。
動物では食用に認可されたものはまだないが、通常の2倍の速さで成長するシャケがもっとも早く認可されるだろうと予測されている。光る糸をつくるカイコなども開発されている。
でも、他の生物の遺伝子は、本来その生物にとっては不要なたん白質を作り出す、不要な組織であるため、なかなかうまく働かない。それを無理やり働かせるために、「プロモーター」と呼ぶ物質も一緒に組み込んで起動させる。そのプロモーターが、目的の遺伝子以外の遺伝子を起動させ、有害な物質を作り出す危険性があると指摘されている。
組み込む遺伝子自体に危険性がなくても、遺伝子組換え技術自体が不安定なものなので、危険なものが偶発的に生まれてしまう可能性がある。
遺伝子組み換えは人類がまだ制御しきれない、未発達で不完全な技術だといえる。
(6)日本には何が輸入されているか?
日本に輸入が許可されている作物は、
とうもろこし、大豆、菜種、綿実、じゃがいも、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類だけ。
そのうち、主に流通しているのは、とうもろこし、大豆、菜種、綿実の4種類。(7)日本では栽培されているか?
日本では遺伝子組み換え作物の栽培が禁止されているわけではないが、商業的な栽培は行われていない。
だから、国産の農産物はみな遺伝子組み換えではない、と思って安心して食べていい。
ただ、大学や企業などによる実験的な栽培は各地で行われている。
(8)日本ではどのくらい流通しているか?
豆腐や豆乳のパックに「遺伝子組み換えでない」という表示をよく見かける。
反対に「遺伝子組み換え」という表示はちっとも見かけない。
ちっとも見ないから「日本では遺伝子組み換え食品は全然流通していない」と思って安心している人もいる。でも、それは大きな勘違い。
日本で流通している大豆の94%は輸入。
日本の大豆の7割はアメリカから輸入されている。
アメリカで栽培される大豆の94%は遺伝子組み換え。
こうしたデータから計算していくと、日本で流通する大豆の約8割は遺伝子組み換えだと推計される。
ところが「遺伝子組み換えでない」の表示しか見ないというのはおかしい、あの表示はウソなんだ!と思い込んでいる人もいる。でも、デタラメの表示がまかり通っているというわけでもない。ここにはちょっとしたトリックがある。
※ どんなトリックなのかは「日本のGM表示のしくみ」(☚クリック)
で説明している。
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(追記)
以上に加えて、今、日本でも国際的にも研究が進められているゲノム編集(GE)
について、その現状と危険性について、後日(シリーズ2)で紹介します。
→ (2)遺伝子ゲノム編集(GE)批判