湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.621(2019.3.12)NHK・BS1スペシャル (3・11の現実)をみて

  「緊急被ばく医療の闘い~誰が命を救うのか~」                      

                      (NHK・BS1 2019.3.10放映)

8年前のフクシマ第一原発事故で、一応は(原発事故対応:緊急医療体制)というものが、なかったわけではないものの、実態はなかった。

医療分野従事者の間で、現実に戸惑い、悩み、考え 、可能なことは何かをとりあえず実践してみた。マニュアルはその通り機能せず、行き当たりばったりながらも最大の試行をやってみたことが、そのまま記録として画像に収められています。

75分の大作です。

NHK・BS1 が、再々放送のような形で放映を近々にやる可能性がありますので、番組表にご注目ください。

 

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(番組内容:NHKサイトより。ポイントを抜き書き)

・【番組を企画したきっかけは】

 原発事故と医療問題について、8年前に何が課題として立ちはだかったのか。  取材から見えてきたのは、いわゆる「原子力安全神話」のもと、十分な体制が整備されてこなかった被ばく医療の実態。事故の直後、日本各地から福島に駆けつけた被ばく医療を専門とする医師たちに話を聞きました。全員に共通するのは「十分に対応できなかった」という苦悩や葛藤…。そして、事故を経験した医師たちの8年後の人生とは…。 医師たちの闘いの全貌を伝えます。 

  原発再稼働が進む中、万が一に備えて「命を守るため」には何が必要なのか。 事故から8年経ち、医学会などで「原子力災害」をテーマにすることが激減する中で、いま改めて多くの方に事故の教訓を。

・特集では、医師たちの目線で原発事故を追体験します。 医師たちの闘いの全貌を伝えます。  原発再稼働が進む中、万が一に備えて「命を守るため」には何が必要なのか

 事故発生直後、福島に入っていった医師たちがいた。「安全神話」のもと原発事故時の医療の準備はほとんどなく、国の指揮命令系統は混乱に陥っていた。そんな中、汚染された住民の対応、爆発で負傷した自衛隊員の治療など、最前線で奔走した医師たちには、命をめぐる重い判断がゆだねられた。独自に入手した、数千に及ぶ医師たち自身の撮影による写真と映像から、当時の医療現場のすさまじい実態を明らかにする

・いま改めて多くの方に事故の教訓を考えていただけたら幸い。

 ・(多分、再放送も近々に在ろうかと思います。)

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(評価)    

原発の危機状況と医師たちの写真と証言に説得力が強く、表面事実だけでなく、救助・治療を行う各組織の、人間の実相としても仕上げた秀作だと思います。

★とりわけ、緊急時の対応マニュアルが実質なかったこと、それが今はあることとされていても、再稼動のみが最優先課題としての政策と企業論理の下にある限り、おそらく万一再発したとしても、程度の差は想定できないし、再現されるに違いないという現実と予感とがないまぜになっていることをこの番組も知らせてくれたように思います。

★避難範囲が5km→20km→30kmと拡大するにもかかわらず、緊急救助関係者が何か行動しなければならない、ただしその判断基準はゼロ、という地獄絵です。

★それとともに、何の知識も、情報も、基準もない中で、水素爆発を起こす現場で、消防、医療、自治体、自衛隊隊員他が、不安と絶望と自らの死の覚悟をももって動かざるをえなかった地獄の様を、このドキュメンタリーは伝えました。一方、東電の姿は全く出てきません。

★番組を見ていての実感は、地獄というものがあるとすれば、この3・11後の一週間余りの中での残された画像・資料・証言のあり得ない事実そのものだという事でした。

★また、ここで一番の課題は、(この番組ではテーマとしては真正面からはとりあげていませんが、)”原発安全神話”が一瞬にして崩壊しただけでなく、当時の民主党政権にしては前政権の引継ぎで、その後の自公政権ではそれを”上塗り”する、原発事故の実相を隠蔽して、まるで無かったこととして、(再稼動)がエネルギー政策の基本に据え続けるという今に引き継がれている現実です。

 

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参考資料記事) ブログ:杜の里から

(注:このブログ記事は、詳細が述べられており、説得力があるのですが、よく吟味して読む必要もあるというのが私見ではあります。)

 (1)

2017年12月09日 

 BS1は福島の甲状腺検査をどう報じたか ~前編~

https://blog.goo.ne.jp/osato512/e/209a8016a9472613c3e5efd4168faa67

(2)

BS1は福島の甲状腺検査をどう報じたか ~後編~(その2)

https://blog.goo.ne.jp/osato512/e/13888c69c96c173883543e50ed8e2412

 

 2017年11月26日(日)、NHKBS1スペシャル「原発事故7年目 揺れる甲状腺検査」という、現在福島県で行われている甲状腺検査についてのドキュメンタリー番組を放送しました(再放送は12月9日)。

原発関連のドキュメンタリーは数多く作られていますが、甲状腺検査そのものに焦点を当てたものは少なく、ただ不安を煽るばかりのひどい特集が以前少しあったぐらいです。

この甲状腺検査については現在様々な問題が指摘されており、果たして今回、BS1はそれをどの様に伝えたのでしょうか。 スペースの都合上数ヶ所は省略しましたが、番組の中で誰が何を語ったのか、そのインタビューシーンを中心に番組内容をまとめてみました。 番組冒頭5分間はこれから始まる特集のダイジェスト版が紹介されます。 まず郡山市の病院の待合室の映像から始まり、これまでの検査で194人の子ども達に甲状腺がんが見つかった事、福島県の検討委員会では「これらのがんは放射線の影響とは考えにくい」という中間報告が出された事などが大まかに紹介されます。・・・・