湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.767(2020.5.24)宇宙軍拡について

《情報》

産経新聞記事(5/18)ほか より)

 自衛隊初の宇宙防衛部隊「宇宙作戦隊」が2020年5月18日、航空自衛隊内に約20人態勢で発足した。                                   

f:id:syounantheo:20200521150158j:plain

 中国やロシアなどが対人工衛星兵器を開発し、宇宙空間の軍事的脅威が高まる中、日本政府は自国の人工衛星を守るための宇宙常時監視を令和5年度に始める予定。

 作戦隊は米宇宙軍との協力関係構築などの準備を進める。 河野太郎防衛省相は18日、防衛省内での隊旗授与式(発足式)で「陸海空に加え、宇宙をはじめとする新領域でもわが国の優位性を確保することが重要だ」と訓示した。初代隊長には阿式(あじき)俊英2等空佐が就いた。  

 弾道ミサイルの探知、敵の船舶・航空機の位置把握、ミサイルの標的への誘導など、国防に人工衛星は欠かせない。

 中露は他国の衛星を破壊するミサイルの地上発射実験を実施済み。他国の衛星に衝突するなどして攻撃する「キラー衛星」に関連する技術開発も保有しているとみられる。

 米政府は宇宙で対決色が濃くなっていると判断し、昨年、宇宙軍を発足させた。  

 また、地球周辺の宇宙空間には数多くのスペースデブリ(故障した衛星やロケットの破片)が浮遊し、秒速7~8キロで周回している。日本の衛星に対する攻撃やスペースデブリの衝突を回避するのが宇宙監視活動の目的だ。  

 防衛省は5年度の宇宙監視の本格化に向け、山口県山陽小野田市にレーダー施設を建設し、宇宙情報を集約するシステムを空自府中基地(東京都)に整備する。隊員は100人態勢に拡充する。8年度までに宇宙監視衛星を打ち上げる計画もある。  米宇宙軍や国立研究機関「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)などには作戦隊員を派遣する。連携や情報共有の仕組みを構築しながら、宇宙の知見を学ばせ人材を育成する。

 防衛省が2019年(令和元年)12月20日に発表した令和2年度予算案において、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新編する関連経費が盛り込まれた[6]。2020年(令和2年)1月23日に防衛省は、「宇宙作戦隊」新編などを盛り込んだ防衛省設置法改正案を自民党国防部会などに提示して了承され、第201回通常国会に提出、4月17日に可決、成立した。部隊名は2020年5月8日に正式に「宇宙作戦隊」と決定された。 

「宇宙作戦隊」は2020年(令和2年)5月18日、府中基地に約20人で新編された。今後ここを拠点に20人規模で始動し、将来は100人規模にする方針だ。 

 防衛省は日本の人工衛星を守るため、不審な人工衛星宇宙ごみを監視する体制の整備を本格化させることにしている。 

 

f:id:syounantheo:20200521150202j:plain

任務 

 JAXAアメリカ宇宙軍と協力し、宇宙空間の常時監視体制を構築する。

 これにより、スペースデブリや他国の人工衛星等が日本の人工衛星に影響を及ぼさないかの監視や日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害、それに宇宙ごみから守るための「宇宙状況監視」をする。 

 他にも、電波妨害や不審な人工衛星や高度約3万6千キロの静止軌道の監視、隕石監視も行なう予定だ。 

 今後、宇宙監視用のレーダーを山口県内に設置するほか、JAXAアメリカ宇宙軍とも連携して「宇宙状況監視システム」を整備し、情報共有システムの構築を図る予定である。

 本格稼働は2023年(令和5年)度の予定。また、JAXA、米軍と互いに情報を共有するシステムも、5年度から運用が始まる予定だ。

 

f:id:syounantheo:20200521151256j:plain

f:id:syounantheo:20200521151301j:plain

 

宇宙防衛に関する記事

年 月 日

出   典

標       題

要             旨

2020.05.18

産経新聞

(Yahoo)

自衛隊に宇宙作戦隊発足 宇宙を監視、人工衛星守る

<2006-051802>  自衛隊初の宇宙防衛部隊宇宙作戦隊が18日、航空自衛隊内に20名人態勢で発足した。 宇宙空間の軍事的脅威の高まりを受け政府は自国の人工衛星を守るため、5年度の宇宙監視の本格化に向け、山口県山陽小野田市にレーダ施設を建設し、宇宙情報を集約するシステムを空自府中基地に整備して100名態勢に拡充する。 更に8年度までに宇宙監視衛星を打ち上げる計画もある。  また米宇宙軍や宇宙航空研究開発機構 (JAXA) などには作戦隊員を派遣して連携や情報共有の仕組みを構築しながら、宇宙の知見を学ばせ人材を育成する。

2020.05.08

時事通信

(Yahoo)

宇宙作戦隊、18日発足 防衛省、不審衛星など監視

<2006-050804>  河野太郎防衛相が8日、自衛隊初の宇宙専門部隊となる宇宙作戦隊を18日に発足させると発表した。  航空自衛隊府中基地を拠点に、宇宙ごみや不審衛星などの監視任務に従事する。 当面20名規模で将来は100名規模に拡充する。

2020.04.17

時事通信

(Yahoo)

「宇宙作戦隊」年度内に発足 改正防衛省設置法が成立

<2005-041702>  航空自衛隊に宇宙作戦隊新設などの組織改編を盛り込んだ改正防衛省設置法が、17日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決成立した。  改正法には、サイバー防衛隊を70名増員し290名体制とすることや、令和2年度に運用を始めるGlobal Hawkの三沢基地配備に向けた70名の準備部隊新編も盛り込まれた。

2020.03.05

時事通信

(Yahoo)

宇宙安全保障の能力強化を 基本計画見直しへ自民提言案

<2004-030501>  自民党の宇宙・海洋開発特別委員会が5日に党本部で会合を開き、宇宙基本計画の改訂に向けた提言案をまとめ、近く政府に申し入れる。  提言案は安全保障を最優先事項に提げ、航空自衛隊に新設する「宇宙作戦隊」を人員や予算面で強化するほか、キラー衛星の出現などを念頭に宇宙空間が既に戦闘領域となったとして、相手方の指揮統制を妨害する能力の保持や、超高速ミサイルへの早期警戒に関し日米共同研究を進めるよう求めている。  また、2030年代の早期に宇宙産業の市場規模を現在の1.2兆円から倍増させる目標を盛り込んでいる。

2020.01.29

Jane's Defence Weekly

Japan to launch space operation squadron

<2003-012905>  安倍首相が1月20日、今春航空自衛隊に宇宙作戦隊が編成されると述べた。 隊は府中基地に20名で発足する。  政府が2019年12月に決定した令和2年度予算案では宇宙関連経費として506億円が計上されており、55億円で日本の衛星に対する電波妨害を探知する装置、33億円で宇宙ゴミを監視する光学装置、134億円で宇宙状況監視システムを調達する計画である。

2020.01.21

Defense News

Japan reveals plan for space defense unit

<2002-012102>  安倍首相が1月20日に国会の施政方針演説で、ミサイル等の脅威から護るため宇宙防衛部隊を新編すると述べた。  航空自衛隊に新編される宇宙領域専門部隊は府中基地に置かれ、2022年の本格運用開始を目指して20名で発足する。 12月に閣議決定した来年度予算では、宇宙関係費として506億円が計上されている。

【註】  令和2年度予算政府原案における宇宙関連費は896億円で内訳は以下の通りである。  ・宇宙状況監視システムの取得: 260億円  ・宇宙利用C4ISR機能強化調査費: 20億円  ・宇宙設置型光学望遠鏡調査費:  0.3億円  ・宇宙通信の利用:       512億円  ・商用衛星・気象衛星の利用:  104億円  ・米空軍宇宙基礎過程への派遣:  0.2億円

2020.01.21

時事通信

(Yahoo)

FMS 調達改善を米に要請 河野防衛相

<2002-012101>  河野防衛相が21日、防衛省内で米国防総省の国防安全保障協力局 (DSCA) のフーパー局長と会い、米政府からの有償軍事援助 (FMS) 調達をめぐり意見交換した。  防衛相が調達迅速化のためにシステムを改善したいと要請したのに対し、フーパー局長は日本側の懸念解決に向け努力すると応じた。

2020.01.20

日経新聞

宇宙・サイバーなど「新領域」の人員拡充 防衛省が定員見直し

<2002-012001>  防衛省は令和2年度から宇宙やサイバといった新領域での防衛を強化するため人員配置見直しを近く改正案を閣議決定する。 防衛省20日召集の通常国会防衛省設置法の改正案を提出し自衛隊の定数を改める。 自衛隊全体として247,000名体制は維持する。  宇宙領域への対応では空自の府中基地に宇宙作戦隊を20名で新編し、最終的に100名規模に増やして人工衛星を使った宇宙状況監視(SSA)を開始する。 サイバ領域への対応では陸海空の各部隊混合で構成するサイバー防衛隊を現在の220名から290名へ増員する。  これらの部隊新編に伴い、自衛隊の定数を定める防衛省設置法6条を改正して、空自を20名、サイバ防衛隊に入る共同の部隊を68名、国内外の軍事情報を扱う情報本部を14名それぞれ増やすが、陸自は82名、海自は27名削減する。

2019.12.20

時事通信

(Yahoo)

次期戦闘機開発に111億円 防衛費5.3兆円、過去最大 20年度予算案

<2001-122001>  12月20日閣議決定した令和2年度予算案で防衛費は元年度当初比1.1%増の5兆3,133億円となった。  次期戦闘機について初期設計費111億円を初めて計上した。 初期設計費に加え将来的に日本主導で改修できるコンピューターシステムの構築に向けた研究費なども合わせると関連経費は約280億円となる。  護衛艦いずもの航空母艦への改修費31億円も盛り込んだ。 航空自衛隊に20名の宇宙作戦隊(仮称)を新設するほか、宇宙状況監視 (SSA) 衛星の整備など計506億円を計上した。 サイバ関連の256億円には、陸海空共同のサイバ防衛隊の70名増員を盛り込んだ。  Aegis Ashore関係では発射装置の取得費115億円と、調査費など14億円を計上したが、配備候補地の再調査や地元との調整を続けているため、特定の土地への配備を前提とした予算は組まなかった。  米政府からのFMSによる調達経費は4,713億円で過去3番目の大きさで、F-35B 6機(793億円)や、F-35A 3機(281億円)が含まれる。

令和 2年度防衛省予算の概要

【註】  近年、わが国の防衛費は補正予算で大幅に増額されているため、当初予算だけでは伸び率を評価できなくなっている。

┏━━━━━┳━━━━━━┳━━━━━┳━━━━━━┳━━━┓ ┃     ┃ 当初予算 ┃ 補正予算 ┃ 総  額 ┃ up 率┃ ┣━━━━━╋━━━━━━╋━━━━━╋━━━━━━╋━━━┫ ┃平成29年度┃5兆1,251億円┃ 2,300億円┃5兆3,551億円┃ 2.1% ┃ ┃平成30年度┃5兆1,900億円┃ 3,998億円┃5兆5,898億円┃ 4.4% ┃ ┃令和元年度┃5兆2,574億円┃ 4,287億円┃5兆6,861億円┃ 1.7% ┃ ┃令和02年度┃5兆3,133億円┃     ┃      ┃(1.1%)┃ ┗━━━━━┻━━━━━━┻━━━━━┻━━━━━━┻━━━┛

2019.07.04

時事通信

(Yahoo)

宇宙ごみ接近警告、5年で4倍=不審衛星観測も3割増-米軍、日本との協力拡大期待

<1908-070401>  米軍が2018年に人工衛星宇宙ごみスペースデブリ)の衝突の危険を警告した件数が、5年前と比べて4倍の約400万回に上ったことが2日に分かった。 米戦略軍統合軍宇宙構成部隊が管轄する連合宇宙運用センタ (CSpOC) によると、接近情報の発信回数は2013年には約100万回だったが、2018年には約400万回に増えた。  他の衛星に危険を及ぼすような不審な動きをする衛星を追跡した事例も3割増加しており、中国やロシアが宇宙の軍事利用を加速する中、米軍は日本など各国と連携した宇宙空間の監視能力を強化したい考えである。

2019.06.04

時事通信

(Yahoo)

政府、「宇宙安保」強化に重点=デブリ対策で世界リード-基本計画の新工程表

<1907-060402>  政府が4日、宇宙開発戦略本部の会合を開き、宇宙基本計画の行程表改定に向けた重点事項を決定した。  宇宙安全保障の強化を重視し、自衛隊の宇宙領域専門部隊新設などについて宇宙航空研究開発機構JAXA)や米国と連携して早期実現を目指す方針を明記している。 更に宇宙開発の阻害要因となるスペースデブリ対策で世界をリードするとの目標も打ち出した。  重点事項を示した文書は、宇宙開発に積極的な中国やロシアを念頭に、対宇宙兵器の開発や電波妨害、不審な人工衛星活動が見られるとして脅威が高まっていると指摘し、昨年末策定の「防衛計画の大綱」に盛られた、宇宙空間の状況を常時監視する航空自衛隊の専門部隊や専門職種の新設について具体化の作業を進める方針を示した。

2019.05.13

共同通信

(Yahoo)

宇宙部隊100人規模に、防衛省 空自、米基地に連絡官派遣

<1906-051302>  複数の防衛省関係者が13日、防衛省が2022年度までに発足予定の航空自衛隊の宇宙領域専門部隊を100名規模とする方針を固めたことを明らかにした。 拠点は空自府中基地に置く。  また、宇宙分野を巡る自衛隊と米軍との連携強化に向けて、カリフォルニア州の空軍基地にある宇宙作戦センタに空自から常駐の連絡官を派遣する。

2019.04.11

時事通信

(Yahoo)

米軍、宇宙で多国間連携=将来の自衛隊参加も視野

<1905-041103>  米軍が10日、英豪など6ヵ国と宇宙分野での軍事協力を強化する方針で一致し共同声明を発表した。 声明によると、米国と英、独、仏、加、豪、ニュージーランドの空軍トップがコロラド州で会合を開き、宇宙領域における軍事協力が各国の国益にとって死活的に重要との認識で一致し、宇宙デブリの監視や情報共有などで連携を強化する方針を確認した。  日本は米国と宇宙安全保障協力を進める方針を示しているが今回の合意には参加していない。 ただ自衛隊Vandenberg AFBにある多国間共同宇宙作戦センタに連絡官を派遣し、今後の関係強化について協議する態勢が整えば、将来の自衛隊の参加もあり得るという。

2019.03.30

NHK

米軍宇宙監視センターに自衛官常駐へ 中ロの宇宙利用に対抗

<1904-033004>  日米関係筋によると、米軍がVandenberg AFBにある宇宙作戦センタに、連絡官として航空自衛官を常駐させる方向で日本側と最終調整を進めているという。  宇宙作戦センタでは、ミサイルや軍事衛星に対する攻撃への警戒のほか、宇宙ごみの監視などの任務が行われているということで、連絡官は日米間の調整や情報交換などにあたるとみられる。

2019.03.30

毎日新聞

(Yahoo)

日米、23年度に宇宙協力へ デブリや他国衛星の情報共有

<1904-033002>  日米両政府は2023年度から自衛隊と米軍の宇宙状況監視 (SSA) システムを連結させ、リアルタイムで他国の衛星やスペースデブリなどの情報を共有する。 将来は他国衛星の攻撃などに備えた相互防護体制の構築を目指す。  4月にワシントンで開く外務防衛閣僚の日米安全保障協議委員会 (2-plus-2) で、宇宙分野の連携強化を確認する。

2018.11.25

朝日新聞

(Yahoo)

宇宙戦争、もう映画だけではない時代 日本が演習初参加

<1812-112501>  米空軍宇宙軍が主催した多国間机上演習Schriever Wargameが10月9~19日の間にアラバマ州Maxwell AFBで、米軍の宇宙関連の部隊や米政府機関からの350名のほか、初めて参加した日本を含む7ヵ国で行われた。 日本からは防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センタ、JAXAなどの職員が参加した。  演習の内容は「機密」扱いだが、複数の政府関係者によれば演習は2028年に米インド太平洋軍の管内で、米国の偵察衛星通信衛星が「ある競合国」から攻撃や電波妨害を受け、GPSもダウンしたとの想定で行われた。

2018.08.21

日経新聞

宇宙ごみを衛星で監視 防衛省が打ち上げ検討

<1809-082101>  防衛省は宇宙空間で増加している宇宙ごみデブリ)や他国の衛星と、日本の衛星が衝突する のを防ぐため、大気圏外から宇宙空間を監視する人工衛星を打ち上げる検討に入った。 導入時期や衛星の数などは今後 、内閣府文部科学省とも協議するが、平成40年度をメドに導入する方向で、来年度予算概算要求には衛星の打ち上げを視野に調査研究費を計上する。  防衛省はまた地上から宇宙空間を監視するため、システムの運用を平成35年度以降に始める。 レーダを山口県に配備 する計画で、来年度予算で高度5,800km以上の宇宙空間を監視できるレーダの取得に向けた経費を求める。

2018.08.17

読売新聞

(Yahoo)

日本の衛星守れ、宇宙ゴミを衛星監視…政府検討

<1809-081703>  複数の政府関係者が、宇宙空間の状況を監視する人工衛星SSA衛星)を導入する方向で検討に入ったことを明らかに した。 宇宙ゴミの衝突や他国の衛星による妨害などから、日本の人工衛星を防護するもので、2024~2028年の打ち上げを視野に入れている。  政府は今年末に改定する防衛計画の大綱で、SSA能力の大幅強化に政府全体で取り組むと明記する方向で調整している。

2018.07.11

Jane's Defence Weekly

Japan looks to develop space technologies for defence

<1809-071114>  防衛省が宇宙開発能力向上のため宇宙開発機構 (JAXA) との連携を強化しようとして いる。  小野寺防衛相か7月2日に文書で、新防衛計画大綱や次期中期防で、宇宙関連技術が優先順位のハイライトになると述 べている。

2018.05.28

毎日新聞

(Yahoo)

宇宙政策委員 元防衛省統合幕僚長の折木良一氏を任命

<1806-052801>  内閣府宇宙政策委員会が28日付で新たな委員に折木良一元統幕長を任命 した。 これまで、学識経験者や産業界関係者が就いてきたが、防衛省出身者は初めてである。  宇宙基本計画が掲げる宇宙安全保障の確保に沿った人事とみられる。

2018.04.26

読売新聞

(Yahoo)

自衛隊の宇宙対応力「危機的に不足」…自民委

<1805-042601>  自民党の宇宙・海洋開発特別委員会が25日に党本部で会合を開き、統合幕僚監部に宇宙に関する運用 を統括する部門を新設することや、宇宙における安全保障の基本方針を定めた「国家安全保障宇宙戦略」の策定などを、政府に求める提言 案を示した。  提言案は、宇宙も含めた軍備を進める中国の脅威などを念頭に、自衛隊の対応能力について危機的に不足していると明 記し、防衛費に占める宇宙予算を現状の400億円から1,000億~2,000億円に増額するよう訴えて いる。 またキラー衛星に対処するため、宇宙空間を監視する衛星の打ち上げなども検討するべきだと指摘している。

2018.03.12

Aviation Week & ST

SmallSat tsunami

<1805-031210>  2026年までに6,200基の小型衛星の打ち上げが検討されているため、衛星同士の衝突や雲のように漂うデブリが心配され ている。

2018.01.03

Yahoo

時事通信記事

宇宙ごみ、22年度に監視部隊=人工衛星への衝突回避―防衛省

<1802-010302>  防衛省は34年度に、スペースデブリを常時監視する部隊を航空自衛隊に新たに発足させる。 同省は宇宙の 状況を24時間体制で監視する新システムを構築中で、35年度の運用開始を目指している。  監視システムは、情報収集用レーダと、情報解析用コンピュータで構成され、海上自衛隊の山陽受信所跡地に設置する レーダが衛星周辺のデータを取得し、得られたデータを府中基地に転送してデブリの軌道などを分析する。 デブリが衛星に接 近すると判断すれば、衛星の運用を委託している会社を通じ、軌道を修正する。  防衛省は23年度ごろから米コロラド州の空軍基地に職員や自衛隊員を継続的に派遣し、宇宙業務課程を履修さ せている。

2017.12.01

Yahoo

毎日新聞記事

防衛省 宇宙軍事机上演習に初参加 来年度 米空軍主導」

<1801-120102>  防衛省が来年度、人工衛星への攻撃などを想定した米空軍主導の多国間の机上演習に初めて参加することを、 内閣府宇宙政策委員会が1日にまとめた宇宙基本計画の行程表に盛り込んだ。 防衛省は参加について、宇宙空間での日米協力の強化や、わが国の宇宙システム の機能保証の向上の観点から有意義だと説明している。  参加するのは米空軍宇宙司令部が来秋に行う「シュリーバー演習」で、この演習は2001年に始まり、米英や豪州、カナダなどが参加し て、人工衛星などに対する軍事攻撃やサイバ攻撃などを想定し、対処法などを机上で訓練している。

2017.11.21

Yahoo

産経新聞記事

「宇宙監視レーダー、海自施設へ 山口・山陽小野田 年度内に地質調査契約」

<1712-112102>  防衛省が中国のASATスペースデブリを監視する専用レーダを山口県山陽小野田 市の海上自衛隊山陽受信所を配備地を決め、同市は21日に市内で市民向けの説明会を開いた。  防衛省は配備候補地について経度的に静止衛星の周辺を監視することに適している山口県の中から探していたが、周囲に山などの遮蔽物がないためレーダの性能 が十分発揮できる一方、住宅が少なく電波干渉の影響もない場所にある海自山陽受信所を適地と判断した。

2017.11.04

産経新聞

インターネット

山口に宇宙監視レーダー、中国兵器対策 防衛省、月内にも地元へ打診

<1712-110402>  防衛省が、日本の人工衛星の運用を妨害する中国のASATスペースデブリを監視する航 空自衛隊初の専用レーダを山口県内の既存の自衛隊施設に設置ことが分かった。  今月中にも地元自治体に正式に打診する。 レーダの情報を基に衛星の軌道変更などの対策を検討する分析部門は都内の空自基地か防衛 省本省に配置することを検討している。  防衛省は平成30年度予算案概算要求に宇宙監視システムの設計費として44億円を計上しており、35年度からの運用を目指している。

2017.08.17

Yahoo

産経新聞記事

「空自に宇宙監視レーダー 35年度から 衛星破壊兵器など対策」

<1709-081702>  防衛省が、スペースデブリや衛星破壊兵器を監視する専用の地上レーダを開発し、レーダを運用する 専門部隊を航空自衛隊に新設することに向け、準備要員の配置も始めた。 北朝鮮BMの警戒など人工衛星は安全 保障上の重要性が高まっており、防衛省自衛隊として独自に宇宙監視に取り組むことが不可欠と判断した。  宇宙監視レーダはシステム設計の最終段階で、防衛省は今月末に締め切られる平成30年度予算案概算要求にレ ーダの整備費を盛り込み、35年度からの運用を目指す。

2017.02.03

Yahoo

朝日新聞記事

「軍民両用研究を推進へ 宇宙・サイバー分野で政府検討」

<1703-020303>  政府の科学政策の方針を決める安倍首相を議長にした総合科学技術・イノベーション会議が、宇宙やサイバなどの分野を中心に 民生分野の科学研究を軍事技術の推進につなげる具体策の検討をを月内にも開くかを含め、議論の進め方を調整している。  日本の科学研究は戦後、軍事と一線を画してきたが、近年は軍事研究との距離が近づいている分野があり、その傾向が強まる可能性がある。

2016.08.18

Yahoo

時事通信記事

「宇宙監視に新システム=日米で情報共有―防衛省

<1609-081802>  防衛省が、人工衛星の安全確保などのため、他国の衛星やロケット破片などのスペースデブリの情報を収集し宇宙の状況を常 時監視する新システムの構築に乗り出した。 同省は34年度までのシステム運用開始を目指しており、今年度予算にシス テムの設計経費として2億円を計上しているが、来年度にはレーダや光学望遠鏡などの整備に着手する方針で、来 年度予算概算要求に必要経費を盛り込む。  また米国との間で情報共有を進め、北朝鮮ミサイルへの警戒で日本が頼っている米早期警戒衛星などの保護にも役立て たい考えである。

2015.11.11

日経新聞

インターネット

情報収集衛星、10基に増強 宇宙基本計画の工程表改訂案

<1512-111102>  政府は11日、2024年度までの宇宙政策の基本方針を示す宇宙基本計画の改訂工程表案を公表した。 危機管理を強化するため情報収集衛 星は現行の4基から10基体制を目指す。  それとは別に、尖閣諸島周辺などの海洋状況の衛星監視を2016年度前半から試験的に始める。 また、 米軍との連携強化も明記し、宇宙利用で安全保障を一層重視する。  改訂案は意見公募などを経て12月に安倍首相を本部長とする宇宙開発戦略本部で決定する。

2014.11.09

毎日新聞

インターネット

クローズアップ2014:宇宙基本計画素案 道筋見えぬ産業重視

<1412-110901> ◇基礎科学衰退に懸念 ◇安保に重点 自衛隊経験不足  宇宙基本計画の素案は、安全保障の確保の中の重点項目のひとつに、人工衛星の安全を守るために宇宙ごみや不審な衛星の動きを監視する宇宙状況監視 (SSA) の体制づくり を掲げているが、防衛省は自前の衛星を保有しておらず、内閣衛星情報センタが運用する情報収集衛星4基や民間の通信衛星3基を利用している。 民間の衛星は耐用年限を迎え つつあるため、同省は独自に保有する衛星に切り替えていく方針である。  防衛省は、SSA を行う専従部隊を30年度以降に創設し、JAXA と連携して監視施設などを整備する方針だが、これまで自前の人工衛星保有してこなかったこともあり、宇宙 に関する知見に乏しい。 JAXA との人事交流も検討しているが、同省防衛政策課によると予備的な協議を始めている段階にとどまっている。

2014.09.14

朝日新聞

インターネット

政府、新たな宇宙計画策定へ 人工衛星で安保能力を強化

<1410-091405>  政府の宇宙開発戦略本部が12日、新たな宇宙基本計画を年末までに策定することを決めた。 昨年策定した5年計画が継続 しているが、中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル発射の増加など、安全保障の環境が変化していることを受け、人工衛星を使った安 全保障能力を強める新計画を作成する。  新計画に盛り込むことが検討されているのは、日本版の GPS に必要な準天頂衛星を現在の1機から早期の7機態勢への増強 、衛星を使った海洋監視、宇宙のゴミによる衛星の破壊を監視するための態勢づくりなどで、アジア太平洋各国などとの衛星データの共同利用なども 議論する。

2014.08.29

Yahoo

産経新聞記事

「宇宙監視の新組織検討 防衛省、基本方針を改定」

<1409-082906>  防衛省が28日、宇宙基本法の成立を受けて平成21年に策定した『宇宙開発利用に関する基本方針』を5年 ぶりに改定した。 宇宙ごみが増加している現状を受け、監視を目的とする専従組織の設置 検討を明記し、宇宙状況監視の態勢強化を打ち出した。  宇宙ごみの観測施設は、レーダと大型光学望遠鏡が岡山県内に計2ヵ所あり、財団法人が運営し、JAXA もその情報を活用している。 レーダーは老 朽化で平成30年代初頭に使えなくなるとみられており、防衛省ではレーダ更新時期に合わせて、監視組織を設置したいと考えている。

2014.08.03

東京新聞

インターネット

自衛隊に宇宙部隊 『5年後発足』米に通告

<1409-080305>  日米関係筋が2日、防衛省が宇宙部隊を5年後をめどに発足させる方針を決め、米政府に通告していたことを明らかにした。 当面は人工衛星との衝突 などを防止するするため宇宙ごみを監視することを主な任務とする。 監視部隊は、航空自衛隊の所属とする案を軸に検討中と いう。  関係筋によると計画では、宇宙開発の調査研究などを行っている『日本宇宙フォーラム』が管理するレーダ施設(岡山県鏡野町)と大型光学望遠鏡施設(同県井原市)を JAXA と共同で取得し、宇宙監視部隊が運用する。 ただしレーダは電波法改正で使用できなくなるため、最新のものに更新する。

【関連記事:1305-040202 (毎日新聞 2013.04.02)】

2013.10.16

東京新聞

インターネット

日英外相が戦略対話 安全保障協力推進で一致

<1311-101605>  岸田外相が16日、英国のヘイグ外相と東京都内で戦略対話を開き、海洋安全保障や宇宙、サイバー空間、テロ対策を重 点に安保分野の協力を推進していく方針で一致した。  また、両国による防衛装備品の共同開発の推進も確認した。

2013.04.02

Yahoo

毎日新聞記事

宇宙ごみ 空自レーダーで監視を検討…衝突なら衛星被害」

<1305-040202>  防衛省は、スペースデブリから人工衛星を守るため、FPS-5 を活用して監視を強化する検討に 入った。  ガメラレーダとも呼ばれる FPS-5 は、下甑島分屯基地など国内4ヵ所に配備されている。

2012.09.07

Yahoo

時事通信記事

サイバー攻撃の研究も=『第5領域』に対処―防衛省指針」

<1210-090701>  防衛省は7日、安全保障上の脅威となりつつあるサイバ攻撃に対処するため、自衛隊の任務や能力整備に関する指針を策定 した。 指針では、サイバ空間を陸、海、空、宇宙と並ぶ領域と位置付け、自衛隊の対処能力を向上させる必要性を強調し 、将来的には攻撃能力の研究も検討課題とした。  米国も2011年にサイバ空間を軍事作戦を行う第5の戦域とする戦略を公表している。

2012.06.28

朝雲新聞

インターネット

宇宙研究開発法の改正案が成立

<1208-062801>  宇宙航空研究開発機構(註:JAXA)法改正案が、6月20日参院本会議で賛成多数で可決成立した。 改正案は同機構の業務 を『平和の目的に限り』と限定していた部分を『宇宙基本法の平和的利用に関する基本理念にのっとり』に変更、安全保障 分野での衛星利用などの研究開発を可能とする規定に改められた。  平成20年8月施行の宇宙基本法では、宇宙開発利用を『国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する よう行われなければならない』と規定し、安全保障分野での宇宙利用が可能となっていた。

2012.06.03

Yahoo

読売新聞記事

「日英が防衛協力で覚書…装備品の共同研究」

<1207-060301>  渡辺周防衛副大臣が3日、英国のハービー国防担当閣外相と会談し、防衛装備品の共同研究などに関する日英の防衛協力を 進めていくための MoU を交わした。  昨年12月に武器輸出三原則を緩和したことを受け、MoU には防衛装備品の共同研究や生産を進めることを盛り込んだ。 宇宙分野やサイバ分野に 関しても協力態勢を構築していくとしている。

2012.01.03

産経新聞

インターネット

政府、JAXA 法改正へ 平和目的規定を削除、安保分野での宇宙利用を促進

<1202-010302>  政府は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の設置法 (JAXA 法) を改正し、宇宙開発を 平和目的に限定する項目を削除する方針を固めた。 安全保障分野での宇宙利用促進が狙いで、通常国会に改正案を提出する。  ミサイル防衛の精度向上に向け、偵察衛星や早期警戒衛星の研究開発が可能となり、中国の ASAT 開発にも対抗でき るようになる。

 

No.766(2020.5.21)川内原発2号機、停止 テロ対策遅れ 2例目

f:id:syounantheo:20200521105353j:plain

評価

 

九州電力は、原発2号機の運転を停止に追い込まれた。

テロ対策施設が期限内に完成しないためで、最新の知見で引き上げた基準を既存の原発にも適用する「バックフィット制度」で停止に追い込まれた。

完成の遅れで原発が止まるのは、川内1号機に続き全国で2例目。今後、関西電力や」四国電力への波及も見込まれる。

 テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」は、テロ攻撃を受けても遠隔で原子炉を制御するためのもので、東京電力福島第一原発 事故後の新規制基準で設置が義務づけられた。九電によると、施設は1、2号機で共用する部分が多いが、4月末時点で建屋の建設工事が約9割、設備や配管の工事が約7割終わっているという。

 2号機は今月21日が完成期限だったが間に合わず、「基準不適合」の状態になるため、運転を止めた。通常の定期検査も実施し、来年1月26日の運転再開をめざす。1号機は今年3月16日に停止しており、12月26日の再開をめざしている。

 2基の停止により、九電の業績への影響は避けられない。九電は、代わりに動かす火力発電所の燃料費負担が約250億円になると試算する。9月中旬から約2カ月間は玄海原発3号機(佐賀県)の定期検査も重なり、4基中1基しか原発を動かせない状況になる。

 

情報 《新聞報道より》2020.5.20付け『東京新聞

 

 九州電力は二十日、川内(せんだい)原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉が停止したと明らかにした。

 同日午前二時半ごろに停止作業を始め、午後零時四十九分に止まった。

 テロ対策で設置が義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が期限の二十一日に間に合わないため。特重施設の完成遅れによる原発停止は三月に運転を止めた川内1号機に続いて全国二例目。

 冷温停止状態には二十一日夜に到達予定。その後は特重施設建設と定期検査を同時に進め、来年一月二十六日の発電再開を目指す。

 二基ある川内原発は両方が停止し、九電は不足する電力は火力発電で補うため、電力供給に支障がないと説明する。追加の燃料費は約二百五十億円を見込み、九電の二〇二一年三月期連結決算を圧迫するのは必至だ。

 特重施設は、東京電力福島第一原発事故を踏まえて設置が義務化された。航空機を原子炉建屋に衝突させるようなテロ攻撃が起きた場合でも、放射性物質の放出を抑えられるように離れた場所に冷却ポンプや非常用電源などを備える。

 九電によると、川内2号機での工事進捗(しんちょく)率は四月末時点で、非常用電源など機械電気関連が七割程度、土木関連は九割程度。川内1、2号機の特重施設の建設費用は計約二千四百二十億円を見込む。

 今後は関西電力高浜原発福井県高浜町)でも、特重施設の完成が期限に間に合わないため原子炉の運転を停止予定だ。

f:id:syounantheo:20200521105349j:plain

 

f:id:syounantheo:20200521105357j:plain

原発のテロ対策施設> 

 原発の原子炉建屋に航空機を衝突させるテロ攻撃が起きた場合、遠隔操作で原子炉に冷却水を注ぎ込むなどして放射性物質が漏れる重大事故の発生を防ぐための施設。

 正式名称は「特定重大事故等対処施設」。

 緊急時制御室や注水設備、電源設備などを備え、原子炉建屋との同時被災を避けるために100メートル程度離れた場所などに設ける。

 原発本体の工事計画の認可後、5年以内に設置することが義務付けられており、現時点で整備が完了した国内原発はない。

 

 

No.765(2020.5.11)山本太郎 氏の論評を 高く評価する。「憲法ってなに?」

f:id:syounantheo:20200511104707j:plain

《情報紹介》

とにかくこの人は、よく勉強してます!!

山本太郎氏(れいわ)のネットでの書き込みがよく分かり、興味深いので紹介します。

まだ「自由党」に属していた2017年に公開したもので少々古いですが、非常に長いパンフレットなので読むのに骨が折れるものの、極めて論理的で説得力があります。彼はこう主張し続けます。

 

「・・・改憲について、確かに時間はない。・・・9条に関しては、すでに解釈で変えてしまったという考え方もできるが、3項に自衛隊を追加することで、すでに憲法を飛び越えて立法した「安保法」を追認した形になりえる。・・・本丸は緊急事態条項。これは閣議決定が法律になる。

・・・国民投票法もまずい。ラジオ・テレビ等の広告宣伝に制限がない。投票日の2週間前からは縛りがあるように見えるが、意見表明CMなら制限なしなので、結局無制限。欧州では、国民投票に関するスポットコマーシャルは一般的に禁止。日本は資金や寄付も公職選挙法ほどの縛りもなく自由。結局、資金力のある方が圧倒的に擦り込みをおこなえる。・・・」

山本太郎氏が緊急事態条項の危険性を鋭く指摘! 「これが改憲の本丸。独裁者にとっては一番手に入れたいもの」

◆ヤバすぎる緊急事態条項! 「自民党は『お試し改憲』としてまず緊急事態条項を入り口にというようなことを言っているが、はっきり言って。これが本丸。これがあれば何でもできてしまう。本当はこれが、独裁者としては一番手に入れたいもの。」

(ポイント)

「政治に未来も希望も見えないのは、企業側を代表する政治家が圧倒的に多いから」

「政治の話というと面倒臭いとか重たいとかいろいろあると思うが、特別なことを話すわけではない。この国に生きている限りはこの国の政治が決定したことに従わなければいけない。『私と政治は関係ない』というのは通用しない。すべての人は政治が行った決定から逃れられない」

「で、その決定を行っている政治は今誰のものか。安保のこと、TPP、労働問題、いろんな問題がある。未来が見えないというか、希望が持てない。それは今、国会や地方議会の中にいる議員たちが、企業側を代表する人たちが圧倒的に多いからだ。なんとかしていかなきゃいけない。もうちょっと行ったらもう戻れないところまで、すでに来てしまっている」

緊急事態条項こそが改憲の「本丸」だ!

 山本氏は、自民党の古谷圭司・憲法改正推進本部長代理が「9条改憲の本音を言わず、国民の支持を得やすい緊急事態条項から着手したい」との発言から、次のように喝破する。

 「お試し改憲としてまずこれを入り口にしようというようなことを言っていますが、はっきり言います。これが本丸ですよ。これがあれば何でもできちゃう。本当はこれが、独裁者としては一番手に入れたいものです」

現行憲法下で、自民党が主張する「災害時の国会空白」は生じ得ない

 そのうえで、「衆院選が災害と重なった場合、国会に議員の空白が生じるため、特例で任期延長を認める必要がある」という、緊急事態条項の必要性を訴える自民党幹部の発言についての反論として、こう述べる。

 「心配いらない。憲法54条2項但し書きには『内閣は、国に緊急の必要がある時は、参議院の緊急集会を求めることができる』とある。たとえその時が参院選だとしても参議院議員の半分は残っている。また、『参議院で決まっても次の国会で10日以内に衆議院の同意が得られなければそれは無効になる』とある。完璧じゃないですか。何があっても大丈夫ですよ」

民主主義を守るために緊急事態条項をあえて外した過去の日本の政治家たち。

 日本が戦後、大日本帝国憲法を改定し、日本国憲法を制定するために開いていた1946年7月15日の第13回帝国憲法改正案委員会で、当時の憲法担当国務大臣だった金森徳次郎氏が、「民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するためには、政府の一存で行う措置は極力防止しなければならない」と、緊急事態条項の導入に否定的な答弁をしていた。

現在の日本国憲法に緊急事態条項がない理由。

 「当然、民主主義を守るため。昔の答弁ではっきり残されている。こんな『何でもできます』という魔法のような権利がもしもあったとしたら、どれだけいいことを書いてある憲法でも全部台無しだ。(権力に対する)何のブレーキにもなってない。だからそういうものは必要ない。もう既によく考えられている。『法律作れる、カネも握れる、人権も制限できる、地方自治体にも自分たちのいうことを聞かせられる』もうこれだけで、アガリ。こういうことを改憲でやっていくということ自体が本当にヤバイ状況にあるから、絶対に止めなきゃいけない」

(以下、次ページのパンフレット全体は、下記で検索できます。)

https://www.taro-yamamoto.jp/leaflet/7463

 

f:id:syounantheo:20200511104710j:plain

f:id:syounantheo:20200511104714j:plain

f:id:syounantheo:20200511104710j:plain

f:id:syounantheo:20200511104724j:plain

f:id:syounantheo:20200511104728j:plain

f:id:syounantheo:20200511104731j:plain

f:id:syounantheo:20200511104735j:plain

 

f:id:syounantheo:20200511104739j:plain

 

f:id:syounantheo:20200511104744j:plain

 

f:id:syounantheo:20200511104748j:plain

 

f:id:syounantheo:20200511104753j:plain

f:id:syounantheo:20200511104756j:plain

 

                             (以上です。)

 

No.764(2020.4.28)コロナ禍:危機の今こそ歴史をひもとき、道標を探すことの大切さ

東京新聞』4/27記事(こちら特報部と、ネット:「日刊リベタ」記事を参考に。 (画像は、記事とは無関係に、当方が挿入しました。)

f:id:syounantheo:20200427153147j:plain

新型コロナウイルスの危機に直面する人たちに向けて、京都大学人文科学研究所 准教授 藤原辰史さんがインターネット上で発表した文章「パンデミックを生きる指針--歴史研究のアプローチ」が示唆に富んでいる。戦争、飢饉、恐慌・・・「・・・理性を保つのは難しい。自分と大切な人たちがどう生きていくか・・・」

 ・この「指針」論文は、4/2、岩波新書編集部が運営するHP:「B面の岩波新書に掲載された。

(サイトは ➡ https://www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic )

f:id:syounantheo:20200427153152j:plain

 

f:id:syounantheo:20200421130814j:plain

 

※ 以下、ポイントを抜粋列記してみます。

・今起きていることは、いずれ世界史の教科書に載るような大転換だ。

 危機のたび、為政者は安易な希望論や精神論を打ち出してきた。一方で、人々は思考の限界に突き当たり、感情に目を曇らされ、理性を保つのが難しくなる。

・ 現金給付の政策を巡り二転三転する国の姿は、「ものすごく勘どころをつかみ損ねている。誰のために政治をしているのかという思想がない」。

・その象徴が「ステイホーム」の要請。首相が犬を抱き、外出自粛を呼び掛ける動画。

友達と会えない、飲み会に行けない、が本質ではない。医療従事者、インフラを維持する人、食料を造り、運び、売る人・・・。自分の頭で物を考える政治家ならば、いまステイホームできない人のことを考える

 あの動画から伝わるのは、『王は家にいる。汝ら励め』。ステイホームが持つ構造を把握する力がないから、国民に声が届かない。トップがぐらつく政権に、この緊急事態を委ねる危機感は強い

・農業や食の思想、環境の歴史、戦争や災害にまつわる出来事に関しても、

 「危機の時代には、人間の本性が現れるから。暗い歴史の中だと、誠実な人たちの言動が光り輝いて見えやすい。過去の感染症でも献身的な医療従事者がいて、多大な犠牲も払ってきた。」 「100年前の「スパニッシュ・インフルエンザ」いわゆるスペイン風邪が歴史の参照軸。1918~20年に流行し、世界の死者は4千万人とも推定される。スペイン風邪の流行は三回の波があり、二回目で致死率が高まった。疑心暗疑から生まれる感情は人間の理性を曇らせる。米国では当時、反ドイツ感情の高まりから、ドイツの製薬会社の薬に病原菌が混ぜられているとうわさされた。」

 今も欧米でのアジア人差別や、ウイルスの発生源を巡る疑念が広まっている。「あの家から感染者が出た、とうわさが出たとき、ある種の感情が生まれる。品性の喪失の先にある憎悪は、人への攻撃、国同士の対立にもつながってきた。」

 「エスニック・クレンジング(民族浄化)という言葉もある。差別的なプロパガンダを支えるのは一人一人の感情。日本でも関東大震災で『朝鮮人が井戸に毒を入れた』というデマが流れ、虐殺が起きた。ウイルスよりも怖いのは人間。遠い国の話ではない。」

 「日本陸軍の半分は、補給がないために飢えて死んだ。今も過労による自殺が起きている。勝利至上主義、パワハラの横行で、日常をおろそかにする文化は、日本に根強くある。」

 コロナ以前から、日常の危機にさらされてきた人びとへの対策も必要だ。たとえば、基地周辺の住民、原発事故の避難者、子どもを抱えて働くひとり親。「パンデミック(世界的大流行)は純粋な災害ではなく、複合災害。もともと弱い立場にあった人たちをさらに苦しめる構造がある」ためだ。

パンデミックはいずれ収束する。「その時、為政者によって、コロナに打ち勝った、という勝利と復興の物語に切り替わるだろう。」 解放感のあまり、人々は恐怖も生命のリスクにさらされていたことも忘れ、大イベントへ突入していく。

「みんな歴史を忘れてしまうけれど、これはとても罪なこと。私たちはもう知ってしまったから。決してコロナ前には戻れない。」

国民の声に耳を貸さない政権の脆弱さを見てしまったし、子どもや派遣労働者、弱い立場の人たちに負担をしわ寄せし、防護服もマスクも税金で手当てできないまま働く医療従事者に、命を救われたことも知ってしまった。

「コロナの犠牲の上に認識できた問題を、決して忘れてはならない。合理化の下に人間を切り捨てることのない、新たな社会の構築に力を尽くすことは、生き残った人たちの責務だと思います。」

 

 ※ 以上の論説概要は、いま、コロナとの闘いに苦しんでいる私たちには、まだまだ先の課題のようにも思えそうだけれど、その渦中の今、真正面から考えないと、とんでもないしっぺ返しが待ち受けているように思えます。

 

f:id:syounantheo:20200427173505j:plain

 

 

                                  (以上)

No.763(2020.4.27)新型肺炎(コロナウイルス)に関する論評紹介

 新型肺炎(コロナ・ウイルス)に関する分析論評

 

コロナウイルス:新型肺炎 に関する、『週刊金曜日』(No.1276 2020/4/10)記事より、”ウイルスの起源” についての、詳細で分析的な論評を、記事の抜粋要約で紹介したい。

(注)矢吹晋 横浜市立大学名誉教授、21世紀中国総研デイレクター の論評

 

 ただし、専門的で結構難解な分析で、理解するのもたやすくはない

また、以下の論説を鵜呑みにすることも危険なことではあるとも思う。

 

  新型コロナウイルスはどこから来たのか

 “起源を探る研究を見れば、陰謀論は否定できる”

<世界中で新型コロナウイルスに関する研究が行われ、徐々にウイルスの起源が明らかになっている。これらの研究からは、世界各地でささやかれる「陰謀論」はデマであることが明白だ。>

 

・日本ウイルス学会は2月10日、新型コロナウイルス:2019-nCoVの特徴を「SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスと80%同じであり、同じ受容体を使ってヒトの細胞に吸着・侵入する。ゆえにSARSで得られた知識を応用することで、研究を迅速に行うことができる」と解説した。

 コウモリ起源を裏付ける、石正麗(シージョンリー)の研究

中国科学院武漢ウイルス研究所は、2020年1月2日にコロナウイルス2019-nCoVのゲノム配列を確定した。また1月11日には、WHO(世界保健機関)の世界流感データベースにゲノム情報を届け、1月23日には、同研究所の石正麗チームがbioRXivのホームページに「2019-nCoVの発見、およびコウモリ起源の可能性」と題した論文を発表した。

石正麗チームの論文では、2019-nCoVのゲノムを初めて特定するとともに、コウモリ宿主のウイルスのゲノム配列と96%まで一致することを確認したこの特定が可能になったのは、実は同じ石正麗チームによって、先行研究が2017年に発表されていたためだ

・それによると、SARSウイルスをもつキクガシラコウモリのウイルスが2005年以来中国各地で発見された。コウモリ・ウイルスSARSr-CoVsは、SARSウイルスSARS-CoVとは異なるゲノムを持ち、直接的先祖ではないと考えられてきた。そうした中で、石正麗チームは、雲南省の洞窟に棲むキクガシラコウモリのコウモリウイルスを5年間観察した。そして2017年に前述の研究成果を発表し、2019年には武漢市で発生した2019-nCoVのゲノムが「SARSのそれと酷似している」ことを突き詰めた。

しかしながら、真向からこれを批判する論説が現れ、惑わされた人も少なくない。「新型コロナウイルスは生物化学兵器だ」という、いわゆる「陰謀論」の数々がSNSを通じて世界に拡散し、インフオデミック(情報の世界的拡散)をもたらした

生物兵器説を厳しく斥けたのは、医学専門誌『ランセット』(2020.2.18付)での感染症専門家による声明である。「このウイルスはコウモリ起源の自然変異による」との見解に立つ。それゆえ新型ウイルスは「遺伝子組み換えで加工されたもの」とする前提を誤りだと否定する

 

ウイルスの系統を示唆する郁文彬(ユイウエンビン)の研究

 

 

 

f:id:syounantheo:20200421133608j:plain

 

 

(1)

ゲノム解析から伝染経路と拡散のルートを追求する試みは、世界各国の研究者によって行われているが、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園のゲノム研究者・郁文彬(ユイウエンビン)チームの研究。彼らは93サンプルに含まれた58種のゲノムを解析し、その結果を5類に分類した。

A:雲南型  

B:米国型  

C:中国湖北  

D:中国浙江  

E:米・広東型   の5類。

(2)

・A型には古株の H1、H3、H13、新型H56,mv2が含まれる。

武漢(華南海鮮市場)の新型コ

ロナウイルスは、他地域から伝染

して市場内でまん延し、

市場外に出た。

・120の変異点に着目以すると、58種のゲノム類型が得られ、変化の過程を知ることができる。

H13とH38は比較的古い型である。中間キャリア(mv1、同じ祖先か中間宿主)とコウモリ・コロナウイルスとが作用してH3からH1が派生した。

(3)

・海鮮市場とかかわる患者は、いずれもH1、あるいはそこから派生したH2、H8~H12である。武漢サンプルH3は海鮮市場とかかわりがなく、他地域から伝染した。発病時期と拡散時間から推断すると、海鮮市場はウイルスの発生地ではない。古株のH13は深圳の患者(広東1号)から、H38は米国ワシントン州の患者(米国1号)から、2019年末から2020年1月初め、武漢の家族を訪ねて感染した。現有の武漢サンプルには、H13とH38はない。

上の図は、ゲノム解析に基づき、郁チームがウイルス株の系統樹(ファミリー関係)を描いたもの。

・グループA(雲南)とB(米国)は第一世代。C(湖北)はAB第一世代の子=第2世代。D(浙江)、E(米・広東)は第3世代としてCから生まれ、第1世代A、Bの孫に当たる。

・中国で採取されたウイルスはすべてC家族である。(CDE)

・米国で採取されたウイルスはABCD全てを含む。

この系統樹から何を読み取ることができるのか?

・郁文彬チームは必ずしも踏み込んでいないが、この図から大胆に、「米国で採取されたウイルスはABCDすべてを含む」ゆえに、新型コロナウイルスの母体であり、「中国で採取されたウイルスはすべ

てC家族である(CDE)」ことからして、発生源は米国とする解釈が一部で行われている。

・その科学的論証は今後に待つしかあるまい。

  

新型コロナウイルスは、L型とS型に大別できる

・郁文彬チームより少し遅れて、2020年3月3日、(北京大学生命科学学院バイオ情報センター蛋白質植物ゲノム研究国家重点実験室)は、ゲノム配列のヌクレオチド8517番目と27641番目に着目してウイルス株を二大別し、L型S型と名付けた。

・これによると、103個の新型コロナウイルスゲノム解析において、149個の「突然変異」を観察し、新型コロナウイルスL亜型およびS亜型に分けたところ、前者が70%、後者が30%であった。

S型はかつてのSARSに似ているのに対して、L型は感染力がはるかに強烈だという。武漢やイタリアでアウトブレイクしたのは、このL型の感染力の強さを示していると見てよい

 

・一方、日本国内からも、生物データの解析を行なっている日本バイオデータ社(神奈川県川崎市)が、「新型コロナウイルスは三つのヌクレオチドの塩基の並びから、CTC、TCC、TCTの3グループに分けられ、武漢で見つかったウイルスのほとんどがCTCグループに属し、他のグループに分類されたのは全21例中の1例に限られる。これらから、武漢で広がっているウイルスと他のエリアで確認されているウイルスは、異なる性質を持っていることも考えられる。(東京で見つかったのはTCTグループ<東京型>)。したがって、今後CTCグループが広がる、武漢同様の被害が出る恐れもある。CTCグループと他のグループは、現在のqPCR法による検査では見分けるのが難しい」と分析する。

・同社がこの分析を発表したのは2月中旬である。その一カ月後ヨーロッパではL型が猛威を振るい、今日に至る。

・米空母セオドア ルーズベルトでも、多数の乗組員が感染した。同空母は1月14日にフロリダを出港、その時すでにサイレントキャリアを乗せ、2か月後に発症した可能性が強い。

この事件は、米国の感染状況の真相を探る有力な材料になるに違いない。   (論評紹介 終わり)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上から、安易に陰謀論に乗っては危険であり、疫学的論証を根拠とする学術評価を待つべきだ。

 

 (追記)【新型コロナウイルス 基本情報】AFP (BB NEWS)

 

f:id:syounantheo:20200421130806j:plain

 

f:id:syounantheo:20200421130810j:plain

 

f:id:syounantheo:20200421130814j:plain



 

No.762(2020.4.14)コロナウィルスでの自民党政権/官僚トップの愚

許すな!憲法改悪・市民連絡会 ウェブサイトより引用 (2020.4.14 付)

http://web-saiyuki.net/kenpoh/index.html 

f:id:syounantheo:20200414141735j:plain

  

高田です。 高野孟氏の論攷です。

 マスクを届けるべき場所はどこか? 緊急にお金を届けるべき相手は誰か?  このままでは「医療崩壊」不可避。 中途半端な対策が招く感染拡大

               2020.04.14 144 by 高野孟高野孟のTHE JOURNAL』

 何事も中途半端で「虻蜂取らず」に陥る日本 ──「医療崩壊」突入は避けられないのか?

 安倍政権の打ち出す新型コロナウイルス対策は、どれをとっても中途半端で勘所を外しており、それ故に虻蜂取らずというか、二兎を追う者は一兎をも得ずという典型的な失敗に突き進んでいる。

 その背景には、自分の頭で考え自分の言葉で語るだけの脳力を持たず、肝心の場面では役人が書いた作文を棒読みするしかない安倍晋三首相の存在があるが、その安倍首相を操っている今井尚哉補佐官を筆頭とする役人集団がまた戦略的理性 を欠いたまま戦術的過激に走る君側の奸ばかりであるために、ますます事態を悪化させている。

f:id:syounantheo:20200414142719j:plain     

f:id:syounantheo:20200414142716j:plain

 

 名著『失敗の本質』のエッセンスを鈴木博毅は次の6点に要約したが(ダイヤモン・オンライン17年2月13日 号)、それはそのまま今の安倍政権の有様を語っているようにさえ見える。

(1)「戦術」で勝って「戦略」で負ける

(2)現実を自分に都合よく解釈し、戦果を誇大認識する

(3)リスクや脆弱性から目を背ける

(4)現場の優れた人物を左遷し、肩書が上の人間の責任を追及せず

(5)戦闘の第2ラウンド、第3ラウンドの想定をしない

(6)情報の徹底的な軽視が生む、非現実的な楽観主義

 マスクを届けるべき場所はどこか? 「アベノマスク」の愚劣については先週号「剥がれた化けの皮。安倍首相『やってるフリ』で逃げ切り図る賭 け」で述べたが、「全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えますよ」と発案したのは、今井本人ではなく その腰巾着の佐伯耕三首相補佐官だったようだ。

 どちらにしても、目先の困難を何とかかわすための小賢しさ のみが発達して、全局を見渡して大きく物事を動かしていく戦略的理性を欠いた経産官僚仲間であることに変 わりはない。

 まさに「戦術で勝って戦略で負ける」典型であり、そうなってしまうのは現実を冷徹に分析せず 、それを行うことに伴うリスクに予め目を向けて第2、第3の選択肢を用意することを怠り、そのため一度始めたら引き返すことはなく突き進んでしまうという行動パターンである。

 いまの日本の局面は、米国大使館のホームページが正しく指摘しているように、「医療崩壊」寸前というか、 すでに部分的にそれが始まっている状態と言える。とりわけ東京都を見れば、ニューヨーク州がちょうど1カ月 前に、毎日の新規感染者数が3月11日=156人が12日=358、13日=621と倍々ペースに突入、1週間後の20日には 3,818人に達したというのに似た、地獄の入り口にある。

 これを何としても回避するには、まずは医療関係者の マスクや手袋や防護服が足りず使い捨てができずに使い回さざるを得ないために医師や看護師の感染が拡大し つつある事態を、決定的に食い止めることである。

 そういう時に、医療用高機能マスクはもちろん一般用不織布マスクよりも遙かに性能的に劣る布マスクを全家庭に配ってどうするんだ。

 12日付読売新聞が1ページを使ってマスクの手作り方法を図解しているし、我が家の 周辺では南房総市が広報を通じて型紙まで図示して自作を呼びかけていて、それで十分ではないか。

 しかも、 先週になって明らかになったのは、その費用が郵送費用などを含めると466億円に及ぶというビックリ仰天。

 「 アエラ」4月20日号は「この額があれば医療用マスクを1億枚前後買える計算だ」と指摘、「1億枚ぐらいならすぐに集められる。50億枚集めろというなら集めます」という某ブローカーの発言も紹介している。

 いまマスクについて政府がやらなければならない最優先はこれで、医療関係者自身が次々に感染して仕事を離れなければならず、しかもそのクラスター化が疑われるその病院を直ちに閉鎖しなければならなくなって感染が爆発的に広がったニューヨークのような状態に東京が転がり込まないようにすることである。

 安倍首相の「やってるフリ」演出で人気上昇を図るという政治的な狙いと、医療最前線で命懸けで戦っている人たちを全力を挙げてバックアップするという戦略的な勘所を取り違えた結果、安倍首相の人気は陰り医療現場は崩壊するという虻蜂取らずに陥る可能性が大である。

 ところで、上掲「アエラ」の記事は、安倍首相が3月初めに公約したマスク6億枚、4月には7億枚はどうなったのかについて、「中国からも大量のマスクが連日入荷している」にもかかわらず政府調達による医療機関への 配布が間に合わないのは「ある政治家の秘書からは『中国産は使わないという話になっているので』」と説明 されているという奇怪な記述がある。

 同誌はそれ以上解説していないので、取材して確かめようとしたが、今 号の締切には間に合わなかった。

  緊急にお金を届けるべき相手は誰か? 安倍首相が「世界最大級」と自賛する緊急経済対策108兆2,000億円の一環として、休業で収入が減ったり失っ たりした従業員、中小企業、個人事業者・自営業者に対して現金給付をするというのだが、これがまた中途半 端。

 感染拡大を抑え込むには企業・店舗の休業やテレワーク化が必要で、それを徹底しようとすれば手厚い損失補償を用意して安心して休めるようにしなければならない。ところが日本の場合は、原則として「損失補償 は難しい」(安倍首相)。

 どうしてそうなのかと言えば、これはあくまで政府の「命令」ではなく「自粛要請」であって、国民はその要請に応え自ら粛(つつし)むのであるから、政府がその補償をしなければならない理由はないという訳なのだ 。

 西村康稔経済再生相は4月9日の会見で「法律上、規定はないので、一定割合を損失補償することは困難だ」 と言い、11日の7都府県知事とのテレビ電話会談では「休業補償として一定割合の損失補填を行っている国は世 界で見当たらない」とも述べたが、本当だろうか。

  まず、法律がないないなら、安保法制がそうだったように、作ればいいではないか。それが間に合わなければ 、お得意の閣議決定乱発でもいいだろう。強制命令にしてその結果を背負い込むのが嫌だからそうしないだけ のことである。

 また、世界のどこの国でも損失補償が行われていないというのは理解不能の発言で、新聞等で報道されている 限り次のような例がある。

英国 ・休業補償:業種を問わず従業員賃金・フリーランス収入の8割を補償、上限は月2,500ポンド(約34万円) ・中小支援:資金繰りを支援し、最初の6カ月の利子は政府負担 フランス ・休業補償:一時帰休の従業員に給与の84%を補償 ・中小支援:企業倒産を防ぐため基金を作り零細・個人事業者に1,500ユーロ(約18万円)を支給

ドイツ ・休業補償:育児で在宅する保護者に賃金の67%を補償 ・中小支援:零細・個人事業者に従業員5人以下は最大9,000ユーロ(約100万円)、10人以下は1万5,000ユーロ (約170万円)を補償

スイス ・中小支援:官民一体で120銀行が参加する中小支援制度を立ち上げ、50万スイスフラン(約5,600万円)まで 政府が100%保障し銀行が無利子・無審査で即日融資 米国 ・休業補償:年収7万5,000ドル(約810万円)未満の世帯に大人1人当たり1,200ドル(約13万円)、典型的な4 人家族で3,400ドル(約40万円)の家計支援 ・中小支援:500人未満の企業に最大1,000万ドル(約12億円)の融資。雇用維持や給与支払いに使う場合は返 済不要

韓国 ・休業補償:全世帯のうち富裕層を除く約7割の世帯に、1世帯当たり最大100万ウォン(約9万円)給付 ・中小支援:ソウル市が14日以上休業した施設に最大100万ウォンを支援。ナイトクラブなど遊興施設は除外

香港 ・休業補償:8歳以上の市民に1万香港ドル(約14万円)給付

 こうして見ると、たいていの国は日本よりよほど分かりやすくスピード感のある補償制度をすでに実行してい ることが分かる。

 西村は何を言っているのか分からない。 日本のこうした制度は総じて、役人がお上の事情に基づいて机上の空論で組み立てるので、困窮している下々 の事情から出発していないので条件が厳しすぎ、しかも不正受給や過剰請求などが発生し(て役所側の責任が 問われることの)ないよう、迷路のごとく複雑な手続きを設定するので、何度も窓口に足を運んで書類の不備 を指摘され突き返されたりしているうちに1カ月も2カ月も経って、間に合わなくて倒産したり、根負けして「 もういいや」と諦めたりすることになりやすい。

上記の表のスイスなど、メールで申し込むと翌日にはもう振 り込まれているという迅速さで、こうでなければ非常時には役に立たない。

 結局、感染拡大は防ぎたいが経済破綻は困る、休業命令を出したいがそれによる補償で財政がパンクするのも困るのでどうしようという中途半端の二乗が今の施策である。

 このやり方では、補償が行き届かないから休業も外出規制も徹底せず、従って感染爆発の危険がなかなか去らないまま事態が長引き、結果として経済全体のダメージが大きくなりかねない。最初にドーンと打って出た方がよほど効果的で短期に終息させられる可能性があったのに、ウジウジと対策を小刻みにして中途半端を重ね 、傷口を広げてしまった。

 その結果、ニューヨーク並みの医療崩壊に転がり込む危険が高まっているのである 。

 

高野孟(たかの・はじめ) 1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダ ーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名 し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。>

 

 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

(追記) (2020.4.14 付)

高田です。

 まだ、詳しく分析していませんが、直近の商業メディアの世論調査に於ける 内閣支持率は「拮抗」か「逆転」に変わりつつあります。

 緊急事態宣言の支持が圧倒的に高いのと比べて対照的です。 コロナへの怖れと、安倍政権の失策への民意の動きでしょうか。 一般的にはこうした危機においては、権力への翼賛的な傾向が掻き立てられるものですが、 今回のあらわれ方はちょっと違うように思えます。

 ここに、これが落ち着いた時、私たちによる政権の転覆の可能性が見えるというのは、気が早すぎますか。

・読売新聞 内閣支持率42%、不支持率が47%  2020/04/13 22:00

・JNN非常に支持できる 3.7% ある程度支持できる 39.6% あまり支持できない 35.4% まったく支持できない 17.3%

・ NHK 安倍内閣「支持する」39% 「支持しない」38%  2020年4月13日 19時00分

共同通信社 支持率は40.4% 不支持率は43.0%で支持率を上回った。

毎日新聞 支持する  44 支持しない 42

No.761(2020.4.5)辺野古基地 地盤の軟弱性データが、またもや暴露された!

《記事紹介》

 辺野古の米軍新基地建設予定地の海底地盤から「軟弱」を示すデータが見つかった沖合の B27地点 で、海面下70メートルより深い地層に含まれる粘土などの細かい土の砂(細粒分)の割合が、最高で」99%に達することが分かった。

 防衛省の「調査データ」は、”いいとこどり” の全くの非科学的なものである

 これは、防衛省のこれまでの屁理屈を更に覆す調査結果であり、ますますその隠ぺい性が明らかになっている!

 以下、『東京新聞』記事(2020.4.3)記事から抜粋でレポートを紹介してみたい。

                               

        f:id:syounantheo:20200405150335j:plain

 

f:id:syounantheo:20200405150848j:plain


「細粒分含有率」が高いほど、地盤は弱くなる傾向がある防衛省は近くの強度データからB27地点の海底地盤を「非常に硬い粘土層」と結論づけ、その特徴として「細粒分は70%程度」を挙げたが、食い違いがみられる。

 

・軟弱な海底地盤が広がる埋め立て予定地の中で、B27地点の粘土層は最も深い90メートルまで達している。

 防衛省が業者に委託した地質調査結果によると、B27地点の細粒分含有率は海面下69~85メートルまでは99~93%となっていた。

 

防衛省は予定地の海底地盤の特徴を、70メートルを境に粘土層が二つに分かれると分析し、より深い層は細粒分が「70%程度」で「非常に固い」と判断。「深度70メートル超は固い」との前提に立ち、「70メートルまで地盤改良すれば基地の施工は可能」としている。

 

・粘土は砂と比べて土の粒度が細かいため、細粒分含有率は、この前提が成り立たない可能性を示している。

 

・もともと防衛省がB27地点のシンド70メートル超 地層を「非常に固い」と判断したのは、150~750メートル離れたS20地点など三地点の強度データからの類推だった。

三地点とB27地点は「同じ地層だから」というのが理由だが、細粒分含有率の傾向は大きく異なっている。

防衛省整備計画局は「細粒分含有率が90%以上であっても、『70%程度』のばらつきとして見ている。土の粒の大きさより、密度を重く見て総合的に判断した」と説明する。

巨大な護岸が建設されるB27地点を巡っては、防衛省の主張に反して地盤が「軟弱」とする三つのデータの存在が本紙(『東京新聞』)報道などで明らかになった

しかし防衛省は「信頼性が低い」として設計に反映していない。

・一部の専門家は「地盤が軟弱なら護岸が崩壊する恐れがある」と、B27地点の再調査を求めているが、防衛省は応じていない

 

(追記)

【地盤に詳しい鎌尾彰司・日本大准教授の話】

「細粒分含有率の差が30ポイントもあり、防衛省の言うようにB27地点と周辺三地点の地層が同一と考えるには無理がある。

細粒分含有率は土の固さにも影響する指標で、B27地点の高い含有率からすれば、むしろ70メートル以深も「軟弱」な地層が続くと考える方が自然だ。

70メートルまで地盤改良すればいいという結論に導くため、地層のデータも都合よく解釈している印象を受ける。

 

                                    以上