湘南Theoの平和のページ・ブログ

戦争と、貧困・抑圧・差別の構造的暴力がない社会実現のために!

No.658(2019.4.18)揺れる公明党/創価学会の批判

    1970年代には公明党の理念が消滅していた

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     (宗教弾圧で獄死した、創価学会初代会長:牧口常三郎氏)

 「平和の党」と自負していたかつての”公明党”の姿がなくなって久しい。

 しかし、この党も今や揺れている。1970年代にはかつての公明党の理念は消滅していた。 

 今まで通り、”コウモリ政党”のままでいられるのか? 内部矛盾は日々高まっている。

以下、雑誌「宗教問題」(2019/4/15)に掲載の記事を紹介したい。

※(原文は下記より引用) : https://president.jp/articles/-/28291

 

 正確に分析評価されていると思います。

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 公明党が揺れている。  

 今春の統一地方選最大の目玉となった大阪府知事市長選挙は、これまで大阪維新の会と協調関係にあった大阪公明党が、維新の悲願「大阪都構想」に関し難色を見せ始め、松井一郎前府知事(維新代表)らと決裂した結果引き起こされたもの。

 東京都政でも公明党はこれまで小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」と協力関係にあったが、最近は小池都政に対し「是々非々」を標榜。マスコミに「距離ができ始めている」などとも書かれる。  

 身内からの反発も目立ってきた

 2018年9月の沖縄県知事で、公明党自民党が擁立した佐喜眞淳候補を全面支援したが、対立候補玉城デニー氏に惨敗。

 関係者に衝撃を与えたのは、公明党支持者の3割近くが玉城氏に投票していたという、マスコミ各社の出口調査結果であった。  

 実際に選挙中、玉城陣営には公明党の母体である宗教団体・創価学会のシンボル「三色旗」がひるがえり、それを持ち込んだ創価学会員たちはマスコミの取材に「現在の公明党の姿勢は創価学会の平和思想に反する」「創価学会が自公の集票マシンに使われている」などと、公明党中央の方針に対する不満をぶちまけた。  

 また現在全国各地で行われている「反安倍政権デモ」などの現場にも、そのような主張を叫ぶ創価学会員たちが少なからず加わっている事実があり、それらは広く報道もされている。  

 一連の流れから感じられるのは、公明党のかつてないブレである。

 そもそも公明党は1999年以来、国政の場で自民党と連立。閣僚まで輩出しているわけだから、自民党への対抗勢力として誕生した大阪維新の会都民ファーストの会と協力するのは本来おかしい。  

 また公明党は長年、中道左派的なポジションで歩んできた政党。

 創価学会のカリスマ、池田大作名誉会長も護憲や反核兵器など、リベラル寄りの発言を行い続けてきた人物だ。それを素朴に信じている創価学会員、つまり公明党支持者も数多い

 なのに現在の公明党は、自民党安倍晋三政権の改憲原発再稼働といった政策を容認している流れがあり、一部の創価学会員らが公明党不信に陥るのも道理だろう。 

 公明党は活動理念を見失っている」  

 少なからぬ創価学会員たちの間から、率直に漏れてくる党批判だ。

 公明党の結党は64年のことだが、当時関係者が盛んに口にしていたのが「王仏冥合」「国立戒壇の建立」といったフレーズだった。

 つまり当時の創価学会が上部団体と仰いでいた日蓮正宗(91年に破門・決別)の教義を国教にし、国にその宗教施設を造らせるという構想で、初期の公明党とはそのような徹底した宗教政党だった。  

 ただそのような姿勢は「政教分離違反」といった批判を多方面から浴び、公明党は70年にそれまでの方針を撤回。言ってみればこのとき、公明党の思想集団としての「理念」は消失してしまっているのだ。  

 以後、公明党は「福祉の党」を標榜しながら創価学会員のために行政からの生活支援などを引き出すことに力を注ぎ、また選挙を事実上の宗教行事に位置付けて創価学会員の引き締め、盛り上げに利用するなど、あけすけな利権追求集団に変貌していく。

 93年の細川非自民連立政権以来、彼らが「勝ち馬」に乗らなかったのは原則として2009~12年の民主党政権期だけで、そのときでさえ常に自公協調の解消はささやかれていた。

 実際、政界関係者の中に公明党を「コウモリ集団」と唾棄する向きは少なくない

 ただ、善し悪しはともかく現在の日本政治をかき回しているのは、安倍晋三首相や小池百合子都知事、また橋下徹氏など、イデオロギー先行型の政治家たちだ。

 そこにマキャベリズムだけで絡もうとする公明党の空回りが、最近の彼らのブレの原因であるようにも見える。  

 また創価学会員の主要層はすでに2~3世信者となっており、彼らは自身で信仰をつかんだ1世より公明党にも冷淡。

 創価学会公明党本部は現在、いつ自分たちの「底が抜ける」のか戦々恐々だという。

 宗教政党でありながらイデオロギーを捨てたコウモリに、天の裁きが下る日は近いのか。

雑誌「宗教問題」編集長 小川 寛大 写真提供=小川寛大 

 

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(以下、挿入画像)

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No.657(2019.4.17)民主主義とサンゴ礁の海を守ろう! 沖縄・辺野古米軍基地建設の速やかな中止を

      Foe Japan からの呼びかけです!

                              (ネット署名は続けられます。)

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(原文は下記より)

http://www.foejapan.org/aid/henoko/190412.html

 

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民主主義とサンゴ礁の海を守ろう! 沖縄・辺野古米軍基地建設の速やかな中止を

署名は以下のいずれかから    

オンライン(Change.org)オンライン(フォームメーラー) 

紙の署名用紙(PDF)  

English

(署名要旨)

・世界でも有数の生物多様性をほこる海がうめたてられようとしている。

・大浦湾には超軟弱地盤があり、工事がいつ終わるか、総事業費がいくらかもわからない。

辺野古新基地反対の沖縄の民意は何度も示されてきた。最近の県民投票では 72% が反対に投票。

・「普天間基地移設」というのは誤り。普天間基地は、無条件で返還されるべき。

(署名宛先)

内閣総理大臣 安倍晋三 様

防衛大臣 岩屋 毅 様

アメリカ合衆国大統領 ドナルド・トランプ

アダム・スミス 米国下院軍事委員会委員長 様

ジェームズ・インホフ米国上院軍事委員会委員長 様

 

日本政府は、沖縄本島北部名護市辺野古にて米軍基地を建設するため、世界でも有数の生物多様性に富む海を埋め立てようとしています。

埋め立て海域や周辺の多くの貴重なサンゴ、オキナワハマサンゴやヒメサンゴなどの希少なサンゴ類も危機にさらされています。政府は7万群体を「事業実施前に移植する」と約束していましたが、 実際に移植されたのは9群体のみ です。

近隣で生息が確認されていた3頭の ジュゴン のうち、1頭は3月18日、沖縄本島北部の今帰仁村の漁港に死骸が漂着しました。 残り2頭は姿が見えなくなっています。 専門家は、工事用船舶の往来や騒音などの影響を懸念しています。

以前から埋め立て海域の大浦湾側には 「マヨネーズ」並みの超軟弱地盤 があることが指摘されてきました。軟弱地盤は最大で水深 90 メートルもの深さに達しています。このような深さの軟弱地盤の改良工事は国内でも実績がなく、世界でも類をみないといいます。

総事業費はいくらになるのか、完成まで何年かかるのかもわかっていません。

辺野古新基地建設の是非を問う 2月24日の沖縄県民投票では、 またもや建設反対の圧倒的な民意 が示されました。新基地建設反対が 43万4273票72% を獲得。すべての市町村で反対が賛成を大きく上回りました。これほど明確な沖縄の声を、日本政府は無視し、3月25日には新たな区画への土砂投入を開始しました。

面積にして 日本の0.6% にしかすぎない沖縄に、70%を超える米軍基地が 押し付けられてきた理不尽を、私たちは直視しなければなりません。

そもそも辺野古新基地建設を、 「普天間基地の移設」ということは誤りです。1995年の米兵による少女暴行事件を機に、沖縄県民の怒りが爆発しました。高まる反米反基地に危機感を覚えた日米両政府はSACO(沖縄に関する特別行動委員会)を設置し、 沖縄の米軍基地の整理縮小 を方針としてかかげました。

日本政府が、もし沖縄の怒りや悲しみに寄り添うというのであれば、「世界一危険」と言われる普天間基地が即時かつ無条件に返還されるようアメリカに求め、その実現に力を尽くすべきです。辺野古新基地建設を既成事実として推し進めるべきではありません。

工事を強引に進めることは、今年2月に行われた歴史的な県民投票で、辺野古新基地に圧倒的な反対の意思を示した沖縄の人たちに対しての人権侵害にほかなりません。

日米両政府は、不必要な米軍基地の建設を中止し、民主主義と沖縄のサンゴ礁を守ってください。

 

呼びかけ団体:辺野古・高江を守ろう!NGOネットワーク   

                FoE Japan         Friends of the Earth U.S.

 

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辺野古・高江を守ろう!NGOネットワークは、辺野古・大浦湾と高江の新たな基地建設に反対し、地域住民の安全で安心な生活と生物多様性を守りながら持続可能な開発が行われることを目指すNGOのゆるやかなネットワークです。

構成団体(五十音順):アーユス仏教国際協力ネットワーク / APLA / 沖縄環境ネットワーク / 沖縄のための日米市民ネットワーク (JUCON) / 環境市民 / 公共事業改革市民会議 / 国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン) / 国際環境NGOグリーンピース・ジャパン / ジュゴン保護キャンペーンセンター / 美ら海にもやんばるにも基地はいらない市民の会 / ピース・ニュース / ピースボート / 辺野古リレー 辺野古のたたかいを全国へ / ラムサール・ネットワーク日本

FoE JapanおよびFriends of the Earth U.S.は、地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGOです。世界74ヵ国に200万人のサポーターを有する Friends of the Earth International のメンバー団体です。気候変動や生物多様性保全、乱開発で脅威にさらされる人々の権利擁護などに取り組んでいます。

 

※この署名はロブ・カジワラさんのホワイトハウス署名と協力して行っています。(ご本人の了解済み) ※ロブ・カジワラさんによるホワイトハウス署名はこちら(英語) ※この署名は、ロブ・カジワラさんのホワイトハウス署名終了後も継続します。

 

連絡先: 国際環境NGO FoE Japan

               〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9 TEL: 03-6909-5983  

                                                                               FAX: 03-6909-5986

 

No.656(2019.4.16)東大入学式での上野千鶴子教授の式辞に感銘

【ようこそ東大へ】特に女性入学生への感銘を与えた式辞

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 「かっこいい!」と言えば、叱られるかもしれないですが、先だっての、東京大学入学式での、上野千鶴子 教授の祝辞は、品格と重みと実践に基づいた素晴らしいものだったと感銘を受けました。

 下記に、その祝辞全文を紹介します。             (画像は挿入)

                                              

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 東京大学ウェブサイトより)https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html   

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 「  平成31年東京大学学部入学式 祝辞

   ご入学おめでとうございます。

  あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。

  女子学生の置かれている現実その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。

   が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。

   1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。

  ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。

 統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。

 女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか? 全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」。

 ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。

 事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。

 まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。

 第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。

 今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。

 第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。

 2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

 最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。

 「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います。

 マララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて、「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。そのとおり、多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきたのです。

 そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。

 なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。

 女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。

 だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

 東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。

 「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。

 この作品を読めば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかがわかります。

 東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。

 わたしが学生だった半世紀前にも同じようなサークルがありました。それが半世紀後の今日も続いているとは驚きです。

 この3月に東京大学男女共同参画担当理事・副学長名で、女子学生排除は「東大憲章」が唱える平等の理念に反すると警告を発しました。

 これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。

 偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。

 東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。

 学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です。女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません。

 女性学のパイオニアとしてこういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。

 私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。

 女性学は大学の外で生まれて、大学の中に参入しました。4半世紀前、私が東京大学に赴任したとき、私は文学部で3人目の女性教員でした。そして女性学を教壇で教える立場に立ちました。女性学を始めてみたら、世の中は解かれていない謎だらけでした。

 どうして男は仕事で女は家事、って決まっているの?主婦ってなあに、何する人?ナプキンやタンポンがなかった時代には、月経用品は何を使っていたの?日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったから、先行研究というものがありません。

 ですから何をやってもその分野のパイオニア、第1人者になれたのです。

 今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。

 そして私を突き動かしてきたのは、あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒りでした。

 学問にもベンチャーがあります。衰退していく学問に対して、あたらしく勃興していく学問があります。女性学はベンチャーでした。女性学にかぎらず、環境学、情報学、障害学などさまざまな新しい分野が生まれました。時代の変化がそれを求めたからです。

 変化と多様性に拓かれた大学言っておきますが、東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。

 東大には、国立大学初の在日韓国人教授、姜尚中さんもいましたし、国立大学初の高卒の教授、安藤忠雄さんもいました。また盲ろうあ三重の障害者である教授、福島智さんもいらっしゃいます。

 あなたたちは選抜されてここに来ました。東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。

 これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。そのすばらしさは、ここで教えた経験のある私が請け合います。

 あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。

 あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。

 世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

 恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

 そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

 女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。

 フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

 東京大学で学ぶ価値あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。

 学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。

 未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。

 あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

 大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。

 知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。

 ようこそ、東京大学へ。  

     平成31年4月12日 認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長

     上野 千鶴子                    

                          」

 

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 (追記)

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No.655(2019.4.15)『琉球新報』の原則的な主張を支持する!

沖縄・普天間返還合意23年 即時無条件閉鎖しかない

本土の全国紙ではこのような原則的で一貫した記事を書かない悔しさ、情けなさ、憤りを皆さん、どう思われますか?! 

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琉球新報』2019.4.13 より転載・紹介。(画像は追記)

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米軍普天間飛行場の全面返還合意から23年が過ぎた。やがて四半世紀がたとうというのに、世界一危険な飛行場はいまだに宜野湾市のど真ん中を占拠している。

 県民の合意のない県内移設に固執し、住民を危険にさらしている日米両政府の責任は重い。 

 当時の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米国大使が共同で記者会見し、普天間全面返還を発表したのは1996年4月12日だった。

 前年の95年に起きた米兵による少女乱暴事件で、県民の怒りのマグマが噴き出し、日米両政府は沖縄の基地返還に真剣に取り組まざるを得なくなっていた。  

 返還発表は「普天間飛行場の一部機能を嘉手納飛行場内に移転、統合。嘉手納飛行場を中心とする県内の米軍基地内に、普天間飛行場所属部隊のヘリポートを新設する」という条件をしのばせてはいたが、まだヘリの離着陸帯という機能にすぎなかった。  

 それが今では、海を埋め立てて2本の滑走路をV字形に配置し、弾薬搭載機能や強襲揚陸艦が接岸できる岸壁を備えた辺野古新基地へと大きく形を変えている。  

 普天間返還の原点は、基地あるがゆえの事件や事故にさらされてきた県民に、安全な暮らしを保障する人権の問題だった。

 それを政府は日米同盟や抑止力の維持へと議論をすり替え、辺野古に代替施設が建設されなければ普天間飛行場は固定化だと県内移設の容認を迫ってきた。  

 2月24日の県民投票で、辺野古新基地建設のための埋め立てへの「反対」が有効投票数の72・15%に当たる43万4273票に達した。潮目は大きく変わっている。  

 さらに大浦湾海底の軟弱地盤の存在で、辺野古新基地建設は完成までの期間も費用も見通せなくなっている。  

 こうした事態に米海兵隊は2019年航空計画に、普天間飛行場を28米会計年度(27年10月~28年9月)まで使用し続ける計画を盛り込んだ。

 飛行場の改修も記載し、この先も宜野湾に居座り続けようとしている。盗っ人たけだけしいとはこのことだ。  

 沖縄戦で上陸した米軍は、宜野湾の住民を収容所に閉じ込めている間に普天間飛行場を建設し、その後も銃剣とブルドーザーで住民を追い立てて基地を広げてきた。

 戦争時であっても敵国で私有財産を没収することを禁じたハーグ陸戦条約に違反する。

 もともと無条件に住民へ返還すべき土地なのだ。  

 18年度に宜野湾市に寄せられた航空機騒音の苦情件数は684件で、苦情受け付けを始めた02年度以降で最多となった。

 最新鋭ステルス戦闘機F35Bなど普天間所属機ではない航空機まで相次いで飛来し、騒音を激化させている。  

 危険除去に向かうどころか、いつ事故が起きてもおかしくない状態と環境被害の拡大が続いている。

 もはや一刻の猶予もならない。直ちに閉鎖し全面返還するしかない。

 

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No.653(2019.4.13)(紹介)「アジアから問われる日本の戦争」展

 《再度紹介します》

「アジアから問われる日本の戦争」展  @大阪

 

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(パンフレット内の呼びかけから)

 

 いま日韓関係が冷え込んでいると言われています。

 「徴用工」問題、日本軍「慰安婦」問題に代表されるように、過去の戦争と植民地支配をめぐる「歴史認識」の隔たりがその根底にあります。 

 私たちは過去の歴史をどれだけ直視しているでしょうか?

 2013年、「ピースおおさか注1 下記)は、これまで展示していたほとんどの加害展示を撤去し、被害についても真正面から受け止めるのではなく、差しさわりのないものに差し替えられました。

 現在「ピースおおさか」を訪れる見学者(特に子どもたち)は、侵略戦争における残虐な加害の歴史も、また侵略戦争にかり出された日本の人たちが遭遇した不条理な被害の歴史も知らされないまま、誤った「歴史認識」を植え付けられています。

 いまほどアジアから「歴史認識」を問われているときはないというのに、新聞やニュースを見ても、教科書を読んでも、アジアからの問いはほとんど載っていないのです。

 わたしたちはアジアから問われている本当の「歴史認識」を、市民の手で取り戻す作業を始めたいと思います。

 

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 (注1) ” ピースおおさか ” に関するアピール  (少し長いですが、)

        

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   加害展示の撤去をねらう
   ピースおおさか「展示リニューアル構想」に反対の声を!

  (子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会)

         ⇩         

http://www7b.biglobe.ne.jp/~hotline-osaka/pisu.pdf

              

 

 

 

No.652(2019.4.12)「日米地位協定の抜本的改定を求める請願」が 地域市議会で採択されたこと(続報)

全国知事会提言」に基づく、「日米地位協定」の抜本的改定を求める請願』 

   が採択された!(3月1日 神奈川県 藤沢市議会)件について。(続、詳報)

 

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※本ブログのNo.648(2019.4.8)で紹介した下記のレポートの詳細な続報です。

(前報詳細は下記です。) 

https://syounantheo.hatenablog.com/entry/2019/04/07/220600

 

(1)ふじさわ・九条の会はこの2月市議会に「全国知事会の提言に基づき、日米地位協定の抜本的改定を求めるように国及び関係機関に、神奈川県 藤沢市議会として意見書を提出すること。」という請願を出し、2月25日の総務委員会にて趣旨陳述を行い、賛成多数で採択されたその後3月1日の本会議に於いても、賛成多数で採択された

 (参考資料)

f:id:syounantheo:20190407163922j:plain

 その請願書と採択された意見書の全文は下記のとおり。

   (注)藤沢市のHP:http://shigikai.city.fujisawa.kanagawa.jp/index.asp

     にはまだ、下記の「請願」と市議会の「意見書」は公開されていません。

 

                            2019年2月7日

  藤沢市議会議長 松下賢一郎様

                 藤沢市〇〇〇〇〇

                  ふじさわ・九条の会 事務局長 〇〇〇〇

 

     全国知事会「提言」による日米地位協定

        抜本的改定を求める請願

 

【請願項目】 全国知事会の提言に基づき、日米地位協定の抜本的改定を求めるように国及び関係機関に、藤沢市議会として意見書を提出すること。

 

【請願理由】全国知事会は2018年7月27日に日米地位協定の抜本的な見直しを求める提言を行った。神奈川県をはじめ米軍基地を抱える都道府県による渉外知事会は、沖縄での米兵による少女暴行事件以後、日米地位協定の改定を求めてきた。特に神奈川県知事は渉外知事会の会長を長く務め、改定の必要性を表明してきた。

翁長雄志沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け、全国知事会は2年近くかけて提言をまとめたのである。提言は米軍への国内法の適用、自治体職員の事件事故時の現場への迅速な立ち入り保障などを地位協定に明記するよう要請しており、米軍の訓練ルート、飛行情報を事前提供すること、米軍の事件・事故への実効的な防止策の取り組み、基地周辺の騒音規制措置について、住民の実質的な負担軽減が図られること、基地施設等の使用状況を点検して縮小、返還を促すことも求めている。上田清司全国知事会長は外務、防衛両省と米大使館を訪問し「基地のない県も含めて共通の認識を持った」と述べた。

 日米地位協定は東西冷戦状態という当時の時代背景もあり、1960年の締結以来一度も改定されていない。しかし今日では状況は大きく変わっている。

神奈川の米軍基地は12か所、座間市の面積に匹敵する土地を占有している。在日米軍司令部が横須賀と座間に置かれ、横須賀は原子力空母ロナルドレーガンの母港となっている。米軍機に日本の航空法は適用されない。県内の住宅、学校、病院の上を昼夜低空飛行する。米軍基地に日本警察は入れず、米兵の犯罪裁判権は米軍が優先するなど、米軍が特権を有している。地位協定は条約ではない。それにも拘らず日本の法律、憲法を超越している。また協定の詳細を決める日米合同委員会に、日本の国会が関与できない。神奈川県民、藤沢市民の生活と生命の安全がないがしろにされている。この危険性を沖縄県民と私達もまた負わされている。

以上、日米地位協定の抜本的改定を切に求める所以である。

             ⇩

(2)これまで九条の会他の他の平和団体が市議会に出してきた陳情請願は、総務委員会で趣旨了承ないし採択されても、本会議で不了承、不採択になるのが通例であった。

 この請願には自民党系の会派も賛成してくれたのである

 これは市議会の意識ある人々と、私達市民との共同共闘が成功したものであり、神奈川県 藤沢市議会の良識を示したものとして、誇るに値する喜ばしい事である。

 私たちは米軍基地が集中し、辺野古埋め立てを強行されて塗炭の苦しみにある沖縄県民と、第二の基地県である神奈川県民との連帯を表現するものとして、この請願に取り組んだ。

 その成果が、下記の市議会本会議での採択と意見書であった。

 

「  日米地位協定の抜本的改定を求める意見書

 

 全国知事会は、故翁長雄志沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け、平成30年7月27日に日米地位協定の抜本的な見直しを求める提言を行った。

 また神奈川県を初め米軍基地を抱える都道府県による渉外知事会は、沖縄での米兵による少女暴行事件以後、日米地位協定の改定を求めてきた。

 日米地位協定は、昭和35年の締結以来一度も改定されていないが、今日では当時の時代背景とは状況は大きく変わっている。

 神奈川県内の米軍基地は12か所、座間市とほぼ同面積の土地を占有しており、日本の航空法が適用されない米軍機が県内の住宅、学校、病院の上を昼夜低空飛行している。

 日米地位協定は条約ではないが、日本の法律、憲法を超越しており、また協定の詳細を決める日米合同委員会に、日本の国会は関与できない。

 神奈川県民、藤沢市民の生活と生命の安全がないがしろにされており、この危険性を沖縄県民とともにまた負わされている。

 よって、政府におかれては、全国知事会の提言に基づき、日米地位協定の抜本的改定を行うことを当市議会は強く要望する。 

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する

                              平成31年3月20日

 

                 藤 沢 市 議 会

 

内閣総理大臣

総務大臣

外務大臣    あて

防衛大臣